弁護士事務所の「乗っ取り」が相次ぐ深刻な背景 東京ミネルヴァ破綻で判明した弁護士事情

東洋経済オンライン / 2020年7月9日 8時0分

消費者金融の過払い金業務を手掛けていた弁護士法人が破産手続きを進めている。いったい何があったのか。撮影は2009年2月(撮影:尾形文繁)

消費者金融会社から払いすぎた利息を取り返す、過払い返還業務を手掛けていた弁護士法人「東京ミネルヴァ法律事務所」が6月24日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。

負債総額は51億円と弁護士法人としては過去最高額。債権者の多くは同事務所に過払い金返還請求を依頼した人々で、東京ミネルヴァは消費者金融会社から返還を受けた過払い金を依頼人に返還せず流用していたという。

一部報道によると、東京ミネルヴァ代表の川島浩弁護士は同事務所が事実上消費者金融会社OBに牛耳られていたとしている一方、名指しされた消費者金融会社OBはこれを否定するコメントをしている。

■弁護士事務所の「乗っ取り」とは

川島弁護士の言うとおり、消費者金融会社OBによる乗っ取りなのかどうかは今後明らかにされるだろうが、弁護士事務所が弁護士以外の人物に乗っ取られるという事態は昔から一定数発生している。

法律行為は弁護士にのみ許される独占業務で、弁護士事務所も弁護士以外が経営できない。このため、表向きの経営者は弁護士のまま、乗っ取った勢力が事務長を送り込み、銀行印も弁護士印も弁護士から取り上げて管理してしまう。強引かつ不法な債権回収も、弁護士印を使うことで正規の裁判手続きの形をとり、合法を装うことができる。

弁護士は、事務所経営に必要なお金と顧客からの預かり金とを分別管理するための銀行口座を持っているが、事務所を乗っ取られると、分別口座も乗っ取り勢力の思うがままになる。

今回の東京ミネルヴァの破産は、自ら申し立てる自己破産ではなく、債権者が申し立てる債権者破産の形をとっている。申し立て債権者は川島弁護士が所属する第一東京弁護士会。原因債権は未納の弁護士会費である。

事務所が乗っ取られていたのであれば、印鑑も川島弁護士の手元にはなかったはずだ。預り金が持ち出されるのを止めるために、破産手続きによって裁判所の管理下に入り、財産の保全を図ろうと考えても、弁護士印がなければその自己破産の申し立てができない。

そこで、6月10日に弁護士法人を解散。川島弁護士以外に10人近くいたとされる所属弁護士を他の事務所に移籍させるなどし、「第一東京弁護士会に駆け込んで債権者として破産申し立てをしてもらうよう頼み、第一東京弁護士会もこれに応じた」(東京経済東京支社情報部の井出豪彦氏)という。

第一東京弁護士会は、6月22日に東京ミネルヴァ関連の専用電話相談窓口を開設している。

■懲戒8回でも除名にならなかったわけ

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