和歌山の「オンライン宿泊」がウケている理由 1泊1000円「予約がとれない宿」になっている

東洋経済オンライン / 2020年7月11日 7時10分

スタート時点では、利用者は知人やSNSのコミュニティーが中心。しかし、口コミで認知が広がり、やがてメディアで取り上げられるや、予約が殺到した。以来、連日満室状態が続いている。1回に募集する宿泊人数は6〜7人。週に5〜6日稼働しており、6月末時点で69回、約430人が利用している。リピーターも多く、中には4回もリピートしている人も。

「普段から旅でゲストハウスを利用しているような方が多いですね。でも一部、既存客とは違うニーズの方もいらっしゃいます。ペットを飼っているからとか、旅好きだったけど、結婚して子どもが生まれて行けなくなった、などの理由で、そもそも旅に行けない人。

若い頃はユースホステルによく泊まっていたというシニアの方もいらっしゃいました。今は若い人ばかりだから利用しにくいけど、オンラインなら気兼ねがないとのことで……。広い層に対し、利用するためのハードルがとても低いサービスだと言えますね」(後呂氏)

■1泊1000円で、日に6000〜7000円の収入

1泊1000円で、日に6000〜7000円の収入になるが、これでは固定費を賄うのが精いっぱい。オンライン宿泊のビジネスは後呂氏とスタッフで行っており、オンライン宿泊の接待だけでも2時間を要する。そのほか準備にかかる時間を含めると、採算はとれない。

「将来のためのPR費だと考えています。利用料1000円には、実際に訪ねていただいたときに乾杯できるよう、ワンドリンクサービスも含まれています。旅行業界は全体が打撃を受けており、『未来の旅行チケット』といったサービスもありますよね。支援の気持ちから購入してくださるのですが、私は、純粋にポジティブな気持ちで訪ねてもらいたいな、と思うんです」(後呂氏)

しかし当初から気になっていたのが、説明を聞いただけでは、オンライン宿泊が魅力的に思えないという点だ。

その土地に足を運び、空気を感じ、産物を味わうことに旅の楽しみがあるのではないだろうか。パソコンやタブレット上に映る動画のみで、どうやってそれらを再現するというのだろうか。

それを検証するため、筆者自身が1泊してみた。以下、簡単にオンライン宿泊の流れをご紹介しよう。

ミーティングアプリのZoomを利用しログインすると、まずはその日の宿泊者同士の顔合わせだ。ビデオをオンにしておき、互いに顔を画面で見ながら、軽くあいさつを交わす。後呂氏の案内で、宿泊スペースを見学。このあたりは想定範囲内である。

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