リニア「ルート変更」静岡知事が明かす発言の裏 JR東海社長への「あいまい対応」の理由も説明

東洋経済オンライン / 2020年7月13日 7時20分

金子社長は、川勝知事との会談で、「もし水が戻せないとなった場合はどうするのか」と聞かれ、「そういうことはなかなか考えにくい」「そういうことを乗り越える技術の力はあると信じている」と答えていた。「仮に変更が必要になった場合には変更する」という今回のコメントは一歩踏み込んだ格好だ。

■知事と次官の議論は白熱

そして、夕方5時から県庁で藤田次官と川勝知事の会談が始まった。開始の30分前から知事室がある階のエレベーターホールには大勢の報道陣が詰めかけていた。

川勝知事は金子社長を県庁舎の玄関で出迎えたが、藤田次官は自分で知事室に向かうという。「次官の顔がわからない。ちゃんと撮れるかなあ」と、そばにいたテレビ局のカメラクルーがぼやいていたが、杞憂だった。5時直前、部下を従えエレベーターから出てきた眼光鋭い人物。雰囲気だけで藤田次官だとわかった。

知事室で川勝知事が藤田次官をにこやかに出迎え、会談はスタートした。ただ、会談の大半がソフトなムードで進んだ金子社長とのときとは異なり、今回はあいさつもそこそこにすぐに丁々発止の議論となった。

次官による3つの提案に対して、知事は「2018年8月に坑口整備はトンネル工事と一体であるとして容認しなかった、2019年5月にも流域首長と話し合ったがやはりトンネル工事と一体という共通理解がある」と説明。さらに、県議会がルート変更に言及していることにも触れた。

ところが、次官は知事の説明を「ちょっといいですか」と遮り、「流域市長が、坑口整備がトンネル工事と一体であると考えていることは承知している。そこを踏まえて切り離すことができないかと提案している。もし不安があるなら、具体的に何が不安なのか教えてほしい」と知事に迫った。

これに対して、知事は「はっきりしていますよ」と自信満々。連日の豪雨で静岡工区のヤードに至る道が通れなくなったり、作業員宿舎の水道施設が使えなくなったりという被害が生じており、「こんな状況で誰が坑口整備をするのか。そんな危険な場所に作業員を行かせるのは現場を踏まえていない議論だ」と言い切った。

少なくとも県が7日にJR東海に示した文書には、工事を認めない理由として今回の豪雨には触れていない。だが、次官はそこには触れず、「自然環境の保全が目的の条例と作業員の安全確保に何の関係があるのか」と、正論で攻めた。

■国交省と流域首長との対話認める

知事は、「言葉で安全を確保しながら工事できますと言っても、言葉と実際は違う。生態系の問題もJR東海は返事をしていない」と変化球で応戦したが、次官は「それは本体工事の話だ」とかわし、「条例を拝見したが、解釈を変えることはできないわけではない。検討できないかと申し上げている」と、攻めの手を緩めない。

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