「コロナはただの風邪」と言う人が知らない事実 「検査増加で陽性者が増えた」はデータの誤読

東洋経済オンライン / 2020年7月14日 7時30分

新型コロナウイルス感染症の第2波と呼ぶべき感染の再拡大が足元で続いている(写真:まちゃー/PIXTA)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「新型コロナ」)の「第2波」と呼ぶべき感染の再拡大が足元で続いている。東京都では7月12日の新規感染者(陽性者)が206名に上り、4日連続で200人を超える水準が続いている。

一方で、TwitterなどのSNS上では新型コロナの危険性を軽視する風潮が一部に見られる。個人批判が目的ではないので個別に挙げることは避けるが、「コロナはただの風邪」あるいは「コロナは茶番」といったフレーズを多用し、新型コロナへの注意を呼びかける専門家、著名人、あるいはマスメディアを批判することが多いようだ。

彼らの論拠には「陽性者数が増えているのは単に検査数が増えているから」「重症者や死亡者は増えていない」「罹患しても若者の死亡率は低い」などがある。しかし、いずれの説も新型コロナに関するデータの特性や注意事項を把握しているとは言い難い。ひとつずつ検証していこう。

■陽性者が増えたのは検査が増えたから?

まず「東京都で検査数が激増し、それに伴って陽性者数が増えただけであり、実質的な陽性者数は増えていない」という説。この説はデータの基準変更に気づかず読み違えたものが広まったと思われる。

まず、「検査数が激増した」という解釈は正確ではない。たしかに6月18日から東京都の公表する検査人数は数字上で増えた。しかし、これは今まで公表範囲に含めていなかった医療機関による保険適用での検査実績を含めるようになったためだ。東京都は検査人数の詳しい内訳を公表していないため、基準変更の前後で増減を比較することはできない。

その後、東京都は過去データを修正し、5月7日まで遡って保険適用分を集計範囲に含めた(正確には、さらに7月に入ってからPCR検査だけでなく抗原検査も「検査人数」に含めるようになった。ただし抗原検査は絶対数が少ないため、検査人数の全体的な傾向にはあまり影響しない)。データ修正後の検査人数を見ると、5月から7月にかけて徐々に増加傾向が見られるものの、ここ最近の陽性者数増加がすべて説明できるほどの違いではない。

実際、陽性判明数を検査人数で割って算出される陽性率は、陽性者数の増加に伴って上昇傾向にある。もし陽性者数の増加が検査人数の増加によるものなら、陽性率は変わらないはずだ。

なお東洋経済オンラインのデータダッシュボード「新型コロナウイルス 国内感染の状況」でも、東京都の基準変更に応じて、グラフ下部の注記に急増の理由を追加し、棒グラフの色も変えて継続性がないことを示しているが、注記を消してあたかも検査人数が急増したかのように見せるスクリーンショットが一部で拡散されている。SNS上でグラフの画像が共有されることは少なくないが、必ず出典のウェブサイトや文献を確認し、注釈やデータの更新がないか確認するようにしたい。

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