ネット中傷に「渦中の企業」はどう向き合うか 法規制強化だけでは片付かない深刻な問題

東洋経済オンライン / 2020年7月14日 7時15分

さらにヤフーでは、AIを用いてコメントの並び順の改善も行っている。多様な意見や考え、感想を含むものを“良質なコメント”と定義し、機械学習させることで、「おすすめ順」の表示順位に反映している。「コメント機能では、最初にどういうコメントが表示されるかでその後にコメントされる内容の流れが変わることがある。その傾向を活用した」(ヤフー広報)。

各社各様の対策は着実に進んでいるものの、実態として、膨大な投稿の中から不適切なものを一掃できているわけではない。何をもって「不適切」とするか、という点にも、難しい問題が残る。

「発言者と受け手の関係性や前後の文脈で、誹謗中傷に当たるのか判断が分かれるケースも多い。『嫌い』とか『死ね』とか、ネガティブなワードを含むツイートであっても、建設的な批判だったり、仲のいい友人同士の戯れだったりする場合もある。 逆に、一見問題なさそうに見えるツイートが、言及された人を深く傷付けることもある」(ツイッタージャパンの笹本氏)

■業界横断の議論が活発化

また、世間からの注目度が高い一部プラットフォーマーが対策を講じたとしても、投稿ルールや監視体制の緩い他サービスに悪意ある発信者が流れるのでは意味がない。

こうした状況も踏まえ業界では、今年4月、ツイッタージャパン、フェイスブックジャパン、LINE、バイトダンス(TikTok<ティックトック>を運営)の4社が中心となり、一般社団法人「ソーシャルメディア利用環境整備機構」を発足。ヤフーも7月、有識者や弁護士からなる「プラットフォームサービスの運営の在り方検討会」を開催するなど、業界横断の議論や自主ルール作成・普及を模索し始めている。

業界発信の取り組みと並行する形で、自民党が「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策プロジェクトチーム」を発足させるなど、国でも規制強化に向けた議論が進む。重要論点の1つに挙げられているのがやはり、サービス管理者に問われる責任性を規定した「プロ責法」だ。

同プロジェクトチームが6月に出した提言では「プロ責法における権利侵害情報の削除・発信者情報開示、民法上の損害賠償請求(中略)等があるが、被害者にとって実効性及び柔軟性ある対策とはなっておらず、特に匿名状況を悪用したネット上の誹謗中傷等による被害は深刻化の一途を辿っている」と指摘。「プロバイダによる迅速な削除対応の促進のため、法制度及びガイドラインの見直しを行う」としている。

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