「大規模無低」に苦しめられた49歳男性の憤怒 支給の生活保護費を封筒ごと取り上げられた

東洋経済オンライン / 2020年7月15日 7時0分

5年ほど前に埼玉県内の大規模無低に入居していたというオサムさん(編集部撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

「生活保護費の支給日になると、マイクロバスに乗せられて市の福祉事務所に連れていかれます。まず、施設の職員たちが役所内の窓口まで5、6メートル間隔で並んで。その前を通って僕たち入居者が保護費を受け取りにいくんです。職員は僕らが逃亡しないように見張ってるんですよ。バスに戻ると、お金は封筒ごと全額取り上げられます。

施設の食事もやばかったです。朝食はたくあん数切れに味付けのり1袋、ウインナー1本。納豆が付けばいいほう。ご飯は1人1杯と決められていて、夕飯がご飯茶碗1杯のカレーライスだけということもありました。肉や魚ですか? ほとんど出たことないです」

■無低の職員から新宿駅で声をかけられた

オサムさん(仮名、49歳)は5年ほど前、東京・新宿駅付近でホームレス状態にあったとき、埼玉県内のある「無料低額宿泊所」(無低)の職員から「うちに入って生活保護をもらいながら、仕事を探しませんか?」と声をかけられた。

無低とは社会福祉法に基づく民間の宿泊施設のこと。オサムさんは「(無低の職員は)言葉遣いも丁寧で、おにぎりやお茶もくれたので、信用できるところだと思ってしまった」と振り返る。

厚生労働省によると、無低は全国に570施設、入居者は約1万7000人。良心的な施設もある一方、一部の施設は生活保護利用者の保護費をピンハネするなど貧困ビジネスの温床となってきた。

オサムさんが入居したのは埼玉県内に複数の施設を持つ大規模無低。保護費の支給日には100人近い入居者をマイクロバス3台に分乗させて福祉事務所まで引率していたという。大勢の人々が職員の監視のもと続々と保護費を受け取り、速攻で没収される光景は相当に異様だったはずだ。もう少しオサムさんの話に耳を傾けてみよう。

「職員から1日1000円だけ渡されます。でも、施設の食事では足りないし、昼食は自腹なのでカップラーメンなんかを買ったら、いくらも残りません。部屋は2畳ほどの個室で、壁はベニヤ板。ダニやノミ、小さなゴキブリが出ました。(福祉事務所の)ケースワーカーは一度も来たことありませんね。

中には寝たきりのお年寄りもいて、おむつ交換は入居者の仕事。僕は一時期、厨房の仕事を任されました。配膳や調理、食材の受け取りとか。何十人分もの食事の用意ですから、ハローワークに行く時間なんてありません。給料? 出ませんよ、そんなの」

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