伊藤忠とファミマ「一体化」でも拭えない不安 5800億円を投じるが、具体的な戦略は乏しい

東洋経済オンライン / 2020年7月16日 7時30分

日本全国のファミリーマートには1日1500万人が訪れる。伊藤忠はこの顧客データを生かせるか(記者撮影)

「総力を挙げて伊藤忠グループを使い倒す。(伊藤忠商事から)役員や人がバサバサ来ることはないと信じている。さらなるファミマのリストラはまったく考えていない」。ファミリーマートの澤田貴司社長は7月8日、決算説明会の場でそう語った。

大手商社の伊藤忠商事は同日、子会社である国内コンビニ2位のファミマに対して、株式の公開買い付け(TOB)を行うと発表した。

TOB期間は8月24日まで。伊藤忠は約5800億円をつぎ込み、ファミマへの出資比率を50.1%から100%に引き上げる。その後、全国農業協同組合連合会と農林中央金庫にファミマ株を計4.9%譲渡するほか、伊藤忠の持分法適用会社・東京センチュリーもファミマ株を0.4%持つ。最終的に伊藤忠によるファミマへの出資比率は94.7%となる予定だ。

■成長に必要だった「非公開化」

TOBに当たって伊藤忠は、伊藤忠グループとの連携による物流の合理化や店舗の省力化、金融やデジタル分野など新たな領域の開拓、海外市場での成長で、ファミマの収益力向上を目指すとした。

そのためにはファミマの非公開化が必要だったとする。上場していると少数株主の利益を考慮する必要性から、商品の流通状況など重要な情報を大株主である伊藤忠だけに提供することはできなかった。経営判断の迅速化も期待する。

確かに伊藤忠にとって、1日に1500万人が来店するファミマ店舗の存在は大きい。ファミマの顧客データを伊藤忠グループ内で利用して販促や金融サービスにつなげたり、店舗内に広告掲載スペースを作ったりといった、より一体となった取り組みを見据える。

ただ、この説明は2018年8月のファミマ子会社化時に挙げられた施策と内容が近い。当時はAI(人工知能)などの活用による次世代店舗の構築、金融事業や顧客基盤を生かしたデジタル戦略の強化、海外事業の強化を進めるとしていた。

2年前、伊藤忠は1200億円を投じて、ファミマを子会社化した。だが振り返ると、その成果には疑問符が付く。

ファミマは2016年9月、傘下にサークルKサンクスを持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合した。統合直前は、両ブランドを合計すると国内店舗数は1万8240店を数え、業界首位のセブンに肉薄していた。しかし統合後、低収益店の大量閉鎖へと舵を切り、2020年6月末時点で1万6618店まで身を縮めた。2万0880店(沖縄除く)のセブン-イレブンとは差が開いた。

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