アメリカの「無印」破綻にみる拡大路線のひずみ 海外展開を加速も、欧米はコロナ前から苦戦

東洋経済オンライン / 2020年7月17日 7時5分

拡大路線に伴うしわ寄せは、在庫管理の面にも及んでいる。良品計画の前2019年度決算は、売上高4387億円(前期比7.1%増)、営業利益は363億円(同18.7%減)と、増収ながら減益で着地した。全社的に商品在庫が過剰気味となり、値引きセールを頻繁に行った結果、粗利率が悪化したことが主因だった。

過剰在庫の多くは、高い販売目標の下で仕込みを強化した国内事業で、計画していた売り上げが取れずに売れ残った生活雑貨や衣料品などが中心だ。

一方、海外でも前期は香港や韓国で売り上げが急減し、だぶついた大量の在庫を、国をまたいで調整することに手間取った。店舗数や展開エリアが拡大していけば、生産量の調整や国別・店舗別の商品分配量の見極めなどにおいて緻密な在庫管理が求められるようになる。今後は商品計画部で仕入れ・発注コントロールを徹底しながら、2021年8月までに在庫を適正化する方針という。

良品計画の今2020年8月期(決算期変更で6カ月の変則決算)は、新型コロナウイルスの影響で大部分の店舗が営業停止したことにより、上場以来初の営業赤字となる見通し。チャプター11を申請したアメリカ事業も、仮に賃料交渉が進んだところでブランドイメージの立て直しには時間がかかる。

独自の世界観から世界中にファンを広げ、海外展開に成功した日系ブランドの代表格とも言われる無印良品。成長軌道へと戻すには、事業規模拡大を追い求める前に、出店計画や在庫管理など基本戦略を見つめ直すことが不可避となる。

真城 愛弓:東洋経済 記者

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