コロナで閉じた国境の「再開放」望ましい処方箋 感染拡大地域からの受け入れをどうしたら

東洋経済オンライン / 2020年7月20日 7時10分

国民の健康と命のリスクをどこまで許容できるか(写真:tabiphoto/PIXTA)

米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。

コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

■一度は閉鎖した国境が再び開放局面に

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとともに各国は国境を閉鎖した。しかし経済社会活動の再開を目指し、ふたたび国境を開放する動きが進んでいる。対面での外交も再開しつつある。

6月17日、ハワイではアメリカのポンペオ国務長官が楊潔篪(よう・けつち)中国共産党中央政治局委員と対峙した。その翌日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はロンドンを訪れ、イギリスのボリス・ジョンソン首相に慣れないお辞儀で挨拶した。

こうして国際的な人々の往来は少しずつ再開しているが、公衆衛生の専門家は、水際対策を緩めることで感染再拡大は避けられないと警鐘を鳴らしている。グローバルな経済社会活動と国際政治は、各国が国境を開くことによって進展してきた。他方で、国境を開けている限り、各国は新型コロナの見えない脅威にさらされ続けることになる。ウィズコロナ(with corona)の時代に、どうすれば安全に国境を開放できるのだろうか。

人が国境を越えるのは、本来、容易なことではない。紛争や貧困から逃れて地中海を渡ろうと試みるも、越えられない。欧州難民危機は2015年にピークを迎えたが、その後も毎年1000人以上が地中海で命を落としている。

しかし今、国境を越えられないのはシリアから逃れてきた人々だけではない。政府首脳や企業幹部など、これまで世界を自由に飛び回っていた人々が、国境を越えられない。新型コロナ感染症は旅行者や出張者、帰国者を介して、瞬く間に世界中に伝播した。こうした中、台湾やベトナム、ニュージーランドは、感染が拡大した国からの上陸拒否措置をいち早く実施し感染拡大を防いだ。各国も、これにならって水際対策を強化した。グローバルな人の移動の拡大が、人々を国境の内側に押し込める状況を作り出した。

国境閉鎖は、国際経済に分断をもたらした。出国前、さらに入国後に14日間の隔離が求められるため、コロナ前のように企業幹部が気軽に出張することは難しくなった。国際線の大幅減便は、航空産業の経営を揺るがすのみならず、旅客機の貨物スペースに頼ってきた医薬品のサプライチェーンにも影響を及ぼしている。

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