「コロナ第2波」日本に決定的に足りない対応策 従来の感染症法に頼っていては限界がある

東洋経済オンライン / 2020年7月27日 18時0分

ここで話をA君に戻そう。彼は医学生だ。コロナが流行している現在、多くの医学部は実習を控えているが、いつまでも実習なしでは済まないだろう。実習先で患者にうつさないためには、定期的にPCR検査を受けるのが望ましい。ハーバード大学は医学部でなくても、週に2回のPCRを検討している。日本とはあまりにも状況が違う。

もし、A君が週に2回の頻度でPCR検査を受けていれば、彼も私もこんなに心配することはなかった。前日あるいは前々日のPCR検査が陰性なら、彼が発熱してもコロナの可能性は低いと判断できたからだ。

もちろん、私は日本全国の医師や医学生全員が定期的にPCR検査を受けるようにしろと言っているわけではない。岩手県のような感染者がいないところでは必要はない。ただ、東京など一部の地域は危険だ。医療従事者が定期的にPCR検査を受けなければ、第2波でも院内感染が多発するのは避けられない。すでに京都市立病院や鹿児島県与論町の総合病院で院内感染が報告されている。

■社会的弱者への対応も重要

ケアすべきはエッセンシャルワーカーだけではない。社会的弱者への対応も重要だ。彼らは感染しやすく、彼らの健康を守るだけでなく、周囲に拡散させないためにも早期に適切な対応が必要だ。

3月27日~4月15日にかけて、アメリカの疾病対策センター(CDC)が、シアトル、ボストン、アトランタなどの19施設の入居者1192人、職員313人をPCR法で調べたところ、入所者の25%、職員の11%で感染が確認された。

欧米の医学誌は社会的弱者へのケアに力を注いでいる。アメリカ国立医学図書館データベース(Pub Med)を「ホームレス」と「コロナ」で検索すると、39報の論文がヒットしたが(2020年7月23日現在)、すべてが欧米で、アジアからの報告はない。

社会的弱者はホームレスだけではない。性労働者もそうだ。差別の対象となり、感染が拡大しやすい。今回の歌舞伎町での感染拡大を「夜の街」と評するようなものだ。

感染者は「被害者」なのに、「犯罪者」のように扱われてしまう。英『ランセット』誌は7月4日号で「性労働者をコロナ対策で忘れてはならない」という論考を掲載している。一方、日本の状況はお寒い限りだ。新聞データベース『日経テレコン』で「コロナ」「セックスワーカー」あるいは「性労働者」で検索したところ、主要全国紙5紙に掲載された記事は朝日新聞の2つだけだ。あまりにも弱者に厳しい社会と言わざるをえない。

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