プロが分析!大学入試共通テスト「化学」のツボ 「化学・化学基礎編」を乗り切るコツ

東洋経済オンライン / 2020年8月1日 10時20分

「大学入学共通テスト」に移行した際、化学の出題傾向はどう変わるのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

2020年(2019年度)、大学入試センター試験が廃止され、2021年(2020年度)1月より、いよいよ「大学入学共通テスト」に移行する。「記述式」や「民間試験導入の有無」、加えて「新型コロナウイルス」などの問題も山積するなか、「共通テスト」元年の受験生はどのように立ち向えばいいのか? それぞれの教科別に対策法を、各教科の受験指導エキスパートに伝授してもらう。

今回は化学について、『大学入学共通テスト 化学の点数が面白いほどとれる本』を執筆した、東進ハイスクール・東進衛星予備校講師/駿台予備学校講師、橋爪健作氏が解説する。

■大学大学共通テストで化学はどう変わる?

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの大学がオンライン授業を行っており、新大学1年生の多くはキャンパスに通えていません。サークル活動や通学時間がなくなることで、大学生は自由に使える時間が増えました。

そのため、大学1年生でありながら大学受験生(通常は仮面浪人といいますが、今年に限っては受験勉強に相当時間が使えているので宅浪生に近い)という人がそれなりにいると聞いています。とくに超難関国公立大は、例年よりも厳しい受験になりそうです。

この記事を読んでいる人の多くは受験生やその保護者だと思いますので、「共通テスト化学」を受験するにあたって、とくに注意してほしいことを先にお伝えします。

[共通テストの注意点]

・共通テストの化学では、センター試験化学で出題されていた選択問題は出題されません

・「計算問題の解答の数値を(選ぶではなく)埋めさせる形式」や「解答が前問の解答と連動する問題」などのセンター試験になかった新しい出題形式が採用される可能性があります

以下、理系が受験する「共通テスト化学」について述べますが、その多くは文系が受験する「共通テスト化学基礎」にもあてはまる内容です。

以下が、センター試験との違いです。

センター試験化学 共通テスト化学
試験時間・満点 60分・100点 60分・100点
解答形式 マーク式(計算問題の解答は、最も適当な数値を選ぶ形式) マーク式(計算問題の解答は、最も適当な数値を選ぶ形式に加え、数値を埋めさせる形式が出題される可能性がある)
問題・問題文 比較的問題文が短い小問が25題出題される センター試験のような小問が減り、新たに長い文章の資料や図・表に各問がぶら下がる形式が出題される可能性がある
問題作成部会の目指す平均点 60点 不明(50点? 2018年11月実施の第2回試行調査では、上位層の識別も含めた多様な識別が意識されて平均点は5割程度を念頭に実施された)

また、センター試験化学の平均点は、54.79点(2020年)、54.67点(2019年)、60.57点(2018年)、51.94点(2017年)、54.48点(2016年)のように、多くの年で問題作成部会の目指す平均点60点を大きく割り込んでいるような状況です。

■共通テストになって変わること

出題形式で、具体的に大きく変わると予想されるのは次の2点です。

① 教科書等で扱われていない受験生にとっては見たことのない資料、図・表を読み取る問題(言い方を変えれば、問題集等で見たことがない問題)が出題される

② 問題文が長くなる

資料や図・表は、読み解く過程を必要とするので従来の問題よりも正答率が下がる傾向があり、問題作成部会の目指す平均点が(多くの年で平均点が目標を下回っている)センター試験と同程度であれば、難解な資料や図・表を出題することはかなり困難であると考えられます。

また、資料や図・表にぶら下がる問いは易しいレベルから難しいレベルへと徐々に難しくなっていくことが予想されます(受験生は、最初の問いが難しいとその後の問いを解かなくなる傾向があるため)。ですから、大問の最後のほうの問いは、解きにくい・難しいと感じたときはパスして時間をロスしないような対策が有効になると思います。

筆者は、従来のセンター試験で問われてきた力に加え、共通テストで新しく問われる能力は次のような力と考えています。

・情報処理能力

長文で書かれた資料から問いで問われている内容だけを短時間で切り取ってくる力。この力がないと長文で構成された問題に時間ばかりとられます。60分で解ける分量の出題であることを意識すれば、例えば下線部を指定している問いであれば、下線部とその前後数行を読むだけで解けることが必然的に多くなります。

・マルチタスク的発想

共通テストでは、この発想を問うことが思考力を試しているといっているようにみえます。この思考力を問う問題への対処方法として、筆者は生徒にマルチタスク(複数の作業をほぼ同時に行う)的な解き方が有効だと伝えています。図や表から得られる情報をもとに、複数の思考をほぼ同時に横に走らせ、これをすり合わせて解答番号を決めるような解き方になります。

■日常の中での化学の役割を意識した題材に

以上から、共通テスト化学で高得点を取るには、センター試験の過去問を解くことに加え、マーク模試や試行調査の過去問で「情報処理能力」や「マルチタスク的発想」に磨きをかけることが有効になると思います。

なお、これはあくまで筆者の予想ですが、文科省がコロナ禍による学習が遅れた生徒への出題の配慮を求めているような現状ですから、共通テスト出題者側は、(大々的には宣伝しないでしょうが)ある程度は学習進度を考慮した出題をしてくるのではないかと考えています。

具体的には、「合成高分子」と「天然高分子」は、問題のレベルを下げてくるのではないかと予想しています。また、学習が遅れた生徒が多くいるなかで平均点をある程度キープするためにも、従来のセンター試験タイプの問題がそれなりに出題されると思います。

また、化学基礎では資料、図・表で取り上げられるテーマが日常生活や社会における化学の役割を意識するような題材になる可能性が高いことに注意してほしいと思います。

橋爪 健作:東進ハイスクール・東進衛星予備校講師/駿台予備学校講師

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