6人家族で「1週間の食費は1万円」極限の食生活 野菜はほとんど買えず「鶏胸肉」がたまの贅沢

東洋経済オンライン / 2020年8月5日 7時25分

家族のためにというなら、そうした制度の利用は一通り検討したのだろうか。

■生活保護の利用につきまとう「心理的ハードル」

シュウゴさんによると、社会福祉協議会の貸し付け制度は一度利用したことがあり、返済も終えた。ただその後は何度相談に行っても「『あなたの収入では返済は無理』と言われ、生活保護に回されました」という。

生活保護は複数の自治体で相談したが、いずれも申請には至らなかった。利用を諦めた一番の理由は「担当者から、(扶養の意思を確認するため)妻の実家に『問い合わせの手紙を出します』と言われたこと」。シュウゴさんは妻の両親には個人情報の閲覧を規制する措置をとっていることを説明したが、担当者は「ルールなので」の一点張りだったという。

車を手放すことや、自己破産を“条件”として提示されたことも、利用を思いとどまった理由の1つ。加えて心理的なハードルもあった。シュウゴさんはシステムエンジニアとして病院で働いていたことがある。生活保護利用者は医療機関では自治体が発行する医療券を使うので、医師や看護師は、彼らが生活保護利用者であることがわかる。

「生活保護の人は陰で医師や看護師にいろいろ言われるんです。『あのおじいさん、生活保護なのにコードレスのイヤホン使ってる』とか、『あの人、生活保護なのにブランドバッグ持ってる』とか。何かというと『生活保護なのに』って……。だから、できれば生活保護は避けたかった」

またしても生活保護を利用することへのスティグマ(社会的恥辱感)である。本連載でも何度も指摘してきた。コードレスイヤホンは補聴器かもしれないし、バッグはコピー商品の可能性もある。そもそも生活保護費を何に使おうが基本は個人の自由だ。一部とはいえ、医療サービスを提供するスタッフたちの無知と偏見ぶりに暗澹たる気持ちになる。

シュウゴさんは生活保護の窓口担当者の対応について「追い返されたわけではない」と理解を示す。しかし、実質的なDV被害者に対して加害者側に扶養照会をかけるというのは事実上の「追い返し」である。不当に申請を受け付けない「水際作戦」の中でも相当に悪質なケースといっていい。

また、そのほかの福祉制度について、シュウゴさん「妻のソーシャルワーカーから『要介護度が低いので、介護保険は利用できない』と言われた」と説明する。障害者手帳と障害年金については対象になること自体、よく知らないようだった。

介護保険が使えるのは40歳以上である。妻は30代なので、介護度にかかわらず制度の利用はできない。ソーシャルワーカーの説明か、シュウゴさん夫妻の理解のどちらかが誤っていると思われるが、いずれにしてもシュウゴさん一家は、国や自治体がさまざまに用意したサービスをほとんど利用できていないということになる。

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