新型コロナ、「2週間後」予測はなぜハズレるのか 高橋泰教授「データに合う新型コロナ観を持て」

東洋経済オンライン / 2020年8月7日 8時20分

わが国の年間死亡者数はデータの確定している2018年で見て136万人。1日当たりでは3732人が亡くなっている。うち肺炎だけでも259人。新型コロナによる死者が平均6人という現実のデータで見ると、新型コロナはそのために日本全体の経済や社会活動を止めなければならないようなウイルスではなく、GoToキャンペーンから東京除外の対策を打たねばならないほどのウイルスでもなかったように思われる。

■コロナを恐れる人々の気持ちのほうが怖い

――GoToの経過が4月と異なる点は、地方の知事たちの間で不安が高まっていることです。

地方に広がったのは事実だが、実際の重症者数や死亡者数はわずか。コロナ自体よりも、コロナを恐れすぎている行政や住民の反応が怖い。

感染者を差別したりする風潮が生まれているのもコロナ観がBであるために、恐れすぎるからだ。「指定感染症」のままである影響も大きい。

――最近は「東京や名古屋など一部地域で、陽性率の高い地域がある。だから危ない」という主張がよく聞かれます。

PCR検査はその時々で陽性者のいそうなところを探して検査している。無作為抽出ではないので、統計的に陽性率を云々することには意味がない。PCR検査の結果にこだわるのは間違いであることは前回のインタビューで感染の広がり方として説明した。これもコロナ観の違いから来ている。

――コロナ観が違うので、検査にこだわってしまう。

あまり多くの人がかからないが、かかると大変、となれば、検査にお金をかけて、かかっている人を見つけ出して閉じ込めようという発想になりがちだ。でも、風邪のように蔓延するけど、98%が自然免疫で治り、酷い症状になるのはごく一部の人だけ、ということになれば、重篤化リスクの高い基礎疾患のある人や高齢者のいる病院や施設を重点的に守ったほうが効果も大きいという考え方になる。

■事実を認め、間違いを修正するべき

――新型コロナについては研究が進行形ですし、治療薬やワクチンもまだ試行錯誤が続いています。しかし、歴史的には19世紀前半のジョン・スノウの例がありますね。

疫学では有名な話だ。1840年代にロンドンのソーホー地区でコレラが蔓延した。ロベルト・コッホがコレラ菌を発見したのは1880年代であり、当時は正体がわからなかった。

でも、スノウは患者の発生をマッピングし、中心にブロード・ストリートの公共井戸のポンプがあることを突き止めた。その利用をやめさせたら、コレラが終息した。病原体の正体がわからなくても、ファクトから適切な対策をとることは可能だということを示す良い例だ。

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