JR西日本、「ダウンサイジング経営」転換の衝撃 長谷川一明社長が語るコロナ後の経営の姿

東洋経済オンライン / 2020年8月8日 7時0分

JR西日本は人口動態の変化に合わせて、経営のダウンサイジングも検討している。写真はJR西日本の「特急はるか」の新型車両(撮影:今井康一)

新型コロナウイルス拡大の影響で鉄道利用者が大きく落ち込んでいる。

2019年12月に前任の来島達夫氏から社長のバトンを引き継いだ長谷川一明氏にとっては就任早々の大きな試練だ。

コロナ禍をどう乗り切り、業績を再浮上させるのか。長谷川社長に聞いた。

■経営のダウンサイジングもありうる

――コロナ禍における投資方針は?

コロナ禍で旅客収入が大きく落ち込んでおり、投資は取捨選択しながらやっていく。短期的には経営改善を図るための努力が必要だが、中長期的にはコロナによる新しい社会構造や新しい生活様式といった、大きな時代の変化に適合した事業のあり方を考えなくてはいけない。

――具体的には?

コロナ禍でキーワードになった非接触、ソーシャルディスタンス、キャッシュレスといったことを徹底的に追求していきたい。特に3密回避という観点から鉄道利用の平準化を図りたい。

中長期的には日本の人口が減少し、日本経済全体も人口動態に合わせて縮小していく。当社は国内の仕事がメインで、場合によっては経営の部分的なダウンサイジングも念頭に入れなくてはいけないと考えていた。今回のコロナ禍によってその未来が近づいた。

――JR東日本は時間帯別運賃の検討を始めました。

鉄道運賃は国が上限運賃として認可したものだ。オフピークに運賃を下げる場合も国への届け出が必要になる。当社が勝手に運賃を設定するわけにはいかない。また、単に運賃を下げると鉄道会社としては減収になる。ピークの運賃を上げ、オフピークの運賃を下げてバランスをとらないといけない。

さらに、利用者によっては値下げになる人もいれば、値上げになる人もいることも考えなければならない。3年間赤字にならないと運賃値上げはできないといった国の規定もある。検討すべきことは数多い。

1日の時間帯で利用客を平準化させることも重要だが、季節による利用客の平準化も重要だ。ゴールデンウィークやお盆、年末年始といった繁忙期の運賃・料金をもっと上げて、閑散期の運賃・料金をもっと下げれば、鉄道利用が平準化されて、ずっと動きやすくなるのではないか。例えば、指定席特急料金の差は繁忙期が通常期より200円高く、閑散期は通常期より200円安いが、本来はもっと差があるべきだ。

■明治以来の仕組みが障害に

――航空券はインターネットでの予約が一般化していますが、鉄道はどうですか。

新幹線のネット予約「エクスプレス予約」のヘビーユーザーは、全体からみれば一部にすぎず、多いのは窓口で購入する顧客だ。鉄道の利用者は航空機よりもはるかに多く、そういう面で鉄道はインターネットでいろいろなことができる余地がある。

それが今までできなかったのは、窓口で紙とペンと計算機で発売するという明治以来の仕組みが基本にあるから。今の技術ならきめ細かい運賃設定も可能だ。コロナによって非接触、キャッシュレスといった意識も高まっており、鉄道運賃のあり方、発売のあり方を根本的に進化させたい。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、キャッシュレス対応や終電自国の繰り上げ、シェアオフィスへの進出などについて語っている。

大坂 直樹:東洋経済 記者

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