「外国人の親を持つ子たち」コロナで何が大変か 学習機会が大幅に減っている子もいる

東洋経済オンライン / 2020年8月9日 7時25分

YSCでは2016年より、通学が困難な生徒向けにZoomを使った遠隔授業を提供してきた。宿題ルームは初めての試みだったが、家で宿題をする子どもたちとスタッフをZoomでつなぎ、質問に答える形で対応した。同じ国ルーツの子どもが画面上で出会って仲良くなるなど、オンラインならではのよさもあった。

休校を受け、通常クラスも3月からオンラインへ移行している。昨年2月にペルーから来日したしょう君(19歳)は、日本語がまったく話せない状態でYSCの日本語と高校進学準備クラスに通い始めた。今年3月の受験に向け毎日通学していたが、試験直前、すべての授業をオンラインに切り替えた。そのまま学習が途切れることなく、希望していた定時制高校に合格した。

■深まる外国人家庭の孤立

一方、オンラインに切り替えたことで離れていった家族もいる。YSCは希望者にiPadを貸し出すなど学びを途切れさせないよう尽力したが、呼びかけに反応がない家庭に対してはそれ以上踏み込めなかった。コロナの影響で家庭訪問や面談も難しい。

さらに、子どもの性格上オンラインだと発言しにくい、質問できるほどの日本語力がないといった理由で途中離脱するケースもあった。平野氏らスタッフは「対面だったらもっとできることがあったのに」と悔しい思いを抱える。

コロナ禍で家庭の経済状況も悪化している。緊急事態宣言後、保護者から「3密を避けるため工場のシフトを減らされた」「経営するレストランを休業している」などの声をよく聞くようになった。

特に深刻なのは、ひとり親家庭の問題だ。コロナへのストレスに経済的な不安、さらに休校による子どもの学習の遅れなど、すべての問題が親1人にのしかかっている。

ある母親は休校中、子どもがゲーム漬けになったことを心配していたという。外国出身の親は言葉の壁から、ほかの保護者と情報交換することが難しい。本来なら親同士で共有できる悩みも、「自分の子だけがおかしいのでは」と不安を抱え込んでしまう。以前からひとり親家庭の孤立は問題だったが、コロナ禍でより顕著になってきている。

平野氏は、身近に外国ルーツの子やその保護者がいる場合、周囲が「あえておせっかいになることが必要」と語る。「近くに外国人の保護者がいたら『学校からメール来た?』と声をかけてみるとか、プリントの内容をかみ砕いて説明してあげるとか、それだけでも違うはず。周囲で少しでも気にかけてくれる人が増えれば、外国人家庭の孤立は減らせると思います」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング