「外国人の親を持つ子たち」コロナで何が大変か 学習機会が大幅に減っている子もいる

東洋経済オンライン / 2020年8月9日 7時25分

YSCのような学習支援につながる子がいる一方、まったく何のサポートも受けないまま暮らす子どもたちもいる。

大阪府で日本語指導員を務める小谷玲子氏は、昨年4月に配属された小学校で3年生のレオ君(仮名・当時8歳)に出会った。6歳の時にペルーから来日したレオ君だったが、日本語はまったく話せなかった。授業がわからないためほとんど学校に来ておらず、担任やクラスメイトすら彼の声を聞いたことがなかったという。

学校側も何度か家庭訪問したものの、共働きの両親は不在がちな上、言葉の問題でうまくコミュニケーションが取れなかった。日本では外国籍の子どもは義務教育の対象外なため、レオ君のように学校に行くのをやめてしまう子は少なくない。

■2年間ゲームをして過ごしていた兄

さらに、レオ君には兄のロベルト君(仮名・当時17歳)がいた。来日時の年齢では日本の中学校に入れず、高校も受験のハードルがあり進学していなかった。地域とも学校ともつながっていないロベルト君は、2年間ずっと家でゲームをして過ごしていた。

南米で暮らした経験からスペイン語が話せる小谷氏は、学校に許可をもらい兄弟の家庭を訪問。ロベルト君に「あなたに日本語を教えるから、代わりに弟を学校まで連れてきてほしい」と頼んだ。

両親の承諾を得て、ロベルト君の家庭教師を始めた。「彼は勉強熱心で、宿題もちゃんとしてきました。今まで機会がなかっただけで、本当は学びたかったんだと思いました」(小谷氏)。

多忙な両親は、兄弟に勉強が必要とは分かっていても、そこまで手が回っていなかった。親が育った国の環境によっては、義務教育で十分と考えている場合もある。だがそれでは、学歴社会の日本で生きていくのは難しい。小谷氏はロベルト君に「進学のための日本語」を教えようと思った。まだ若かったため、せめて高校を卒業してから就職することが最善と考えたのだ。

ロベルト君は、約束を守って弟を学校に連れて行くようになった。このまま順調に進むかと思えた矢先、兄弟は家族の都合で半年間ペルーに帰ってしまう。年明けに帰国した兄弟は、友人たちとペルーで楽しい時間を過ごしたこともあり、日本語の学習意欲を失っていた。弟は再び学校に来なくなり、以前の引きこもり生活に戻ってしまう。

コロナの影響で家への訪問も難しくなった。小谷氏は休校中、日本語教育のオンラインセミナーに参加。Zoomを使った授業のノウハウを身につけ、ロベルト君にオンラインでの日本語クラスを提案した。すると「やりたい」と返事がきた。

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