ユーロは再び第2の基軸通貨と期待されるのか 欧州復興基金で「安全資産」としての価値が増す

東洋経済オンライン / 2020年8月10日 7時20分

欧州復興基金の誕生は、ユーロの第2の基軸通貨への道を一歩進めるのか(写真:European Council)

7月に入り発生したドル全面安の中、ユーロは対ドルで3月の安値から12%近くも上昇した。こうした状況下、円も対ドルで騰勢を強めたが、年初来高値(101.18円)の更新には至らなかった。

この動きをEU(欧州連合)の復興基金合意と絡めて解説する向きは多い。ユーロの上昇は5月末から始まっていたので7月下旬に合意した復興基金の件だけで説明できるとは思えないが、確かに今回の合意がユーロ買いの背中を押した可能性はある。

■ユーロは基軸通貨になれるのか

これは単純に「EUの結束が示された」とか、「感染拡大第2波到来への備えができた」とかといったような近視眼的な理由からではない。ユーロ誕生以来、ドルに次ぐ「第2の基軸通貨」を期待されながら精彩を欠いてきたユーロの基軸通貨性が補強される材料として復興基金の存在意義を論じるべきではないかと筆者は思っている。

最初に断っておくが、「ユーロがドルを凌ぐ存在になる」とまではまったく思えない。

欧州委員会自身も10年前に『EMU@ 10 Successes and challenges after ten years of Economic and Monetary Union』(成功と挑戦、経済通貨同盟から10年)と題したユーロ導入10周年記念論文の中でそう論じている。その論文の中でも「一部の評価軸に照らせばユーロはドルを上回る分野もあるものの、その歩みはある程度、EUと経済・政治関係を持つ地域に限定されている。ユーロの国際化を考えてみると地域・制度との結びつきが極めて強いことが分かった」と結論付けられている。

筆者もこの論文の執筆陣の1人であったのでよく覚えているが、EUとしてユーロがドルに伍する存在になれると本気で思っている節はなかったと記憶する。

2年前(2018年9月)に、欧州委員会のジャン-クロード・ユンケル委員長(当時)が、欧州議会で行われた施政方針演説の場で、「ユーロはドルに取って代わる基軸通貨になるべき」と述べたことが話題になったが、少なくとも今までのところ、具体的な戦略性を持ってフォローされているような案ではない(参考記事『ユーロが「基軸通貨」になれない根本理由』2018年9月25日配信)。

とはいえ、ドルを凌ぐ存在になれないからといって、ユーロの帯びる基軸通貨性が全否定されるわけではない。簡単にいえば、「もっと為替市場で使われる存在になる余地」はある。この点、ユーロ発足以来、断続的に注目されてきた「ユーロは第2の基軸通貨になれるのか」という論点を点検しつつ、復興基金誕生と関連づけて現状把握に努めてみたいと思う。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング