「支配人の9割が女性」東横インの驚きの仕組み 未経験の専業主婦から支配人になった人も

東洋経済オンライン / 2020年8月27日 7時30分

女性支配人が9割という東横イン。なぜそれが可能になっているのでしょうか(写真左は「東横INN名鉄知立駅前」。右は「姫路駅新幹線北口」の支配人である中野享恵さん)

新幹線が止まる主要駅のそばで、青字の大きな看板をよく見かける。ビジネスホテルの「東横INN」。国内外に約320店舗、6万9000室余りを持ち、売上高は947億円(2020年3月期)。

国内では高知県と佐賀県を除く45都道府県に、海外も韓国、モンゴル、カンボジア、フィリピン、ドイツ、フランスで事業を展開している。レストランや宴会部門は持たない効率経営で宿泊費用を抑えているのが特徴だ。

出張の際、東横INNをよく利用していたら、フロントに貼られた支配人の写真から「女性が多い」ことに気づいた。さらに客室に置かれた社長の著書から、支配人の9割以上が女性だと知り驚いた。

ホテルの支配人は重責、重労働のイメージだ。客室で使う備品を調達し、何十人ものスタッフを採用してマネジメントする。時に宿泊客からのクレームにも対応するのは考えるだけで大変そうである。

日本の企業には女性管理職が少ない。令和2年度版「男女共同参画白書」(内閣府男女共同参画局発行)によれば、管理職に占める女性割合は日本14.8%。欧米先進諸国のアメリカ(40.7%)、イギリス(36.8%)、ドイツ(29.4%)、フランス(34.6%)、スウェーデン(40.2%)のみならず、東南アジア諸国のフィリピン(50.5%)、マレーシア(24.6%)などと比べても低い。また、2019年8月に帝国データバンクが発表した調査によれば、従業員に女性が多い小売業でも、管理職女性比率は13.9%にとどまる。

こういう中で、支配人の9割が女性という東横INNの人材マネジメントは、日本企業としては極めて異色だ。しかも、女性支配人の多くがホテル業未経験者や元専業主婦だという。これはいったいどういうことなのか。ホテル業界に入ったのは40歳近く、共に今月末時点で49歳という2人の支配人に話を聞いた。

■前職は家族で洋菓子店経営、39歳で入社した支配人

中野享恵さんは兵庫県にある「姫路駅新幹線北口」の支配人である。2010年2月、39歳のとき「支配人補佐」として東横インに入社した。それまで17年間、家族で洋菓子店を営んでいた。ホテルは未経験だ。家庭の事情で転職を考えていたとき、新聞のチラシを見て「接客の経験を生かせそう」と考えて応募した。

入社後は、接客経験を生かしつつ、未経験だった事務をイチから教えてもらった。経理の知識はゼロだったが「やってみたら、私はお金の管理がけっこう好きだと気づきました。数字はうそをつかないですし、ぴったり合ったときには仕事を完結できたという喜びがあります」。

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