M&A仲介会社「承継で大活況」の知られざる実像 雇用や技術、地域経済を守る一方で不満の声も

東洋経済オンライン / 2020年9月8日 7時30分

日本独自の「M&A仲介ビジネス」に問われているのは?(写真:SB/iStock)

会社の経営を後継者に引き継ぐ事業承継が、差し迫った課題になっている。中小企業庁によれば経営者の平均年齢は59.9歳(2019年時点)。2025年には6割以上、約245万人の経営者が70歳を超え、うち半数超の127万人が後継者の決まらない状態に陥る可能性がある。

廃業する会社が増えれば地域経済を直撃する。2025年ごろまでに約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性がある。いわゆる「2025年問題」だ。

この状況が後押しする形で、市場が急拡大しているのがM&A仲介ビジネスだ。会社を売却したい売り手と、買収して事業を拡大したい買い手を仲介するビジネスで、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライクの上場3社が代表格だ。「事業承継はもはや社会問題。われわれの果たす役割は大きい」。あるM&A仲介大手の幹部はこう息巻く。

『週刊東洋経済』9月7日発売号は、「得する事業承継 M&A」を特集する中で、事業承継型M&Aで伸び盛りのM&A仲介会社をクローズアップ。後継者不在に悩む中小企業の「救世主」と言われながらも、M&A市場が成熟した欧米のM&Aアドバイザリーとは本質的に違う日本独自の「仲介ビジネス」に迫った。

■「FA」と「仲介」の違い

これまでのM&Aアドバイザリーと仲介の違いが契約方法だ。

売り手か買い手のどちらか「一方」とアドバイザリー契約を結び、結んだ側(依頼主)の利益の最大化のために相手と価格交渉をするのがファイナンシャルアドバイザリー(FA)。成約すれば依頼主から手数料を得る。これが欧米では標準だ。一方、日本独自のM&A仲介は、売り手と買い手の「両方」とアドバイザリー契約を結び、成約に向けて両側と譲渡価格の調整をする。成約すれば両側から手数料を得るのだ。

この手法は「両手取引」と呼ばれ、一方の利益の最大化を計ればもう一方の利益を毀損することになるため、専門家からも「利益相反にあたるのではないか」との指摘が根強い。

今年、ある建機リース会社はM&Aで会社の株式を100%売却し、事業承継を果たした。数年前に創業者の会長が急逝。その後は創業者の妻である会長と取締役を務める娘が会社を引き継ぎ、コロナ禍でも業績を上げてきていた。

しかし、会社のさらなる発展を考え、経営の引き継ぎについて公的機関に相談。そこで事業承継をするにはM&Aという選択肢があることを知る。そこで2人は大手のM&A仲介会社をはじめ、いろいろなところに相談してみた。迷った結果、片側のFAに徹するGCAサクセション(本社・東京都千代田区)に依頼することを決めたという。

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