オリンパス、「カメラ事業」の復活に必要な条件 JIPの買収によって、「VAIO復活」の再来なるか

東洋経済オンライン / 2020年9月9日 7時10分

オリンパスは6月にデジタルカメラ事業から撤退すると発表した。今後は、JIPのもとで「オリンパス」ブランドは当面維持される予定で、販売済み製品のメンテナンスも続行される(撮影:尾形文繁)

赤字が続いていたデジタルカメラを含む映像事業から撤退するオリンパス。その事業を買収するのが企業再生を手がける投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)だ。買収額は未定だが、9月末までに最終契約を結び、年内に買収を完了する。

「苦境にあるデジカメ市場、なかでも赤字に苦しむオリンパスの映像事業をなぜ買収するのか」。業界内のこうした疑問の声とは裏腹に、今回の買収の責任者を務めるJIPの稲垣伸一マネージングディレクターは、オリンパスのデジカメ再生に自信を見せる。

稲垣氏は「過去30件投資をする中で破綻したケースはない。業界ではなぜ苦境にある映像事業に投資するのかという声はあるかもしれない。しかし、世の中がそう思っているからこそ、気がついていない強みがあると思う」と断言する。

■VAIOの経験を生かす

この自信はかつてソニーから買収したパソコン「VAIO」事業での成功に裏打ちされている。JIPのもと不採算事業であったVAIOは「VAIO株式会社」として2014年7月に再出発。2016年5月期には黒字転換を果たし、その後も毎期増益を達成。ロボットなどのEMS(製造受託)事業も開始し、事業の核を増やしている。

稲垣氏はVAIO株式会社に投資責任者として参加。成功のカギは「独自の特徴、技術に焦点を絞ることだ」(稲垣氏)と言う。VAIOの場合はソニーという大企業の中では個別事業にまでリソースが十分に割かれないという状況があった。

そこでVAIOを単体事業として外に出すことで、事業の特徴を把握。これまでの民生向け中心から転換し、その特徴が最大限生きるビジネス向け市場に販路と事業規模を絞り、黒字転換を達成した。オリンパスのデジカメ再生もこの経験を生かす方針だ。「オリンパス」ブランドは当面維持し、販売済み製品のメンテナンスも続行する。

稲垣氏はオリンパスのデジカメもVAIOの事例と同様に「個別事業に十分なリソースが割けなかったのが問題」と分析する。オリンパスではこれまで内視鏡など医療機器事業を本業にして注力しようという方針があったため、デジカメを含む映像事業には戦略的な投資が十分に行われてこなかった。

そのため、稲垣氏は「オリンパス社内では見えていなかった映像事業の特徴を精査し、どの市場で特徴が生きるか見極める」としたうえで、「その市場に合う規模や体制に作り変え、身軽に挑戦できるようになれば、縮小するデジカメ市場のなかでも強みが生きてくると経験的にも感じている」と自信を示す。

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