「82年生まれ、キム・ジヨン」で考える女性の地位 韓国で社会現象になった同名人気小説が映画化

東洋経済オンライン / 2020年9月14日 10時20分

10月9日より日本で公開予定の映画『82年生まれ、キム・ジヨン』。韓国でベストセラーとなった同名小説が原作だ(東洋経済オンライン読者向け「オンライン試写会」への応募はこちら) © 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

世界が広いと信じていた子供時代。女性としての生きづらさを初めて知った少女時代。必死に勉強して入った大学から就職への壁。仕事ぶりは認められても昇進には結びつかない日々。結婚・出産で会社を辞め、社会から切り離されていくような気持ちを抱える日々。そして再就職への困難な道。ついに彼女の心が壊れてしまう――。

■多くの女性が「これはわたしたちの物語!」と共感

韓国のジェンダー意識に関わる現代史や社会問題を織り交ぜながら、女性が社会で感じている重圧や生きづらさ、不平等感などを丁寧に描き出したチョ・ナムジュのフェミニスト小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が映画化され、日本では10月9日より劇場公開される。

2016年に韓国で発売された原作は、韓国で130万部を突破したベストセラー小説。多くの女性が「これはわたしたちの物語!」と共感の声をあげる一方で、この本の存在を快く思わない一部の男性層の反発が高まるなど、賛否両論の渦を巻き起こした。

5人組ガールズグループ Red Velvetのアイリーンがこの本を「読んだ」と発言しただけで一部の男性ファンから失望の声が飛び出し、彼女の写真を燃やす、破るといった過激な行動に走る者まで出てくる始末だった。

そうした社会現象は日本にも伝わる。世界的に#MeToo運動の流れが広がる中、2018年12月に日本で翻訳本が発売されるや、発売2日目にして重版が決定。大型書店では品切れが続出し、2020年5月現在で16万9000部を売り上げている。

ある種の“事件”となった作品だが、そうした仰々しいイメージとは裏腹に、実際の物語の語り口はむしろ淡々とした日常を描き出したもの。

小説の日本語訳を担当した斎藤真理子氏は「フェミニズムを扱った小説ではありますが、ジヨンは闘士ではないし、また際立った犠牲者というわけでもありません。ところがそれが思いもよらない効果を生みました。この普通さが、読者が自分を投影するのにはうってつけだった」と指摘する。

主人公のキム・ジヨンという名前も、韓国ではよくある一般的な姓、そして名前を意識的にチョイスして名付けたものだという。それゆえに読者は、ごく普通の平凡な女性を自分のことのように感じた。そしてここで綴られたエピソードの数々は、女性として生きるうえでの「声にならない叫び声」として共感を呼んだ。

主人公は、結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われる30代女性のジヨン。常に誰かの母であり、妻であることを求められていた彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。

■平凡な主婦にある”異変”がおこる

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