テレビ報道の現場を覆う「身分制社会」の不条理 ニュース番組の「エース」でさえもこの扱い

東洋経済オンライン / 2020年9月25日 7時15分

テレビの報道番組を支える"職人"たちを苦悩させる不条理とは?(イメージ写真:Carbondale/PIXTA)

テレビのドキュメンタリーやニュース特集が今、瀕死の状態だ。

大袈裟に言っているのではない。コロナ禍による予算削減もあって、このままいくと地上波テレビからドキュメンタリー番組やニュース特集の枠が消滅しかねない状況になっている。そして、現場でそうしたノンフィクション取材を頑張っている人たちも、窮地に追い込まれている。

本連載「テレビのミカタ」では、さまざまなテレビのプロたちはどんなお仕事をしているのか、そしてどんな問題に直面しているのかを取材して「現場の声」をお届けしている。今回は「ドキュメンタリーD(ディレクター)」ということで、ノンフィクション系の番組の制作にあたっているテレビマンたちの証言を紹介することにしたい。

大きく「待遇」と「制作環境」の2パートに分け、前編ではドキュメンタリーDたちの待遇や労働環境についてを主眼に、後編では番組制作をするうえでの苦悩についてを主眼にお伝えする。

■バラエティ番組よりもひどい扱い

業界を知らない方は驚かれるかもしれないが、実はバラエティ番組の制作をするテレビマンより、ニュース・ドキュメンタリーの制作をするテレビマンのほうが一般的には待遇は悪い。

バラエティ番組よりもドキュメンタリー番組のほうが制作に時間がかかるし、収益が少ないからだ。制作している会社も弱小が多く、頻繁に資金繰りに行き詰まり、経営破綻している。

そんな中で、「世の中に意義ある情報を伝えたい」という思いに支えられて、薄給で身を粉にして働いているドキュメンタリーDが多いのが現実だ。

では「どんな人がドキュメンタリーDを志望して、業界に入ってくるのか」から話を始めよう。

私の周辺にいるドキュメンタリーDたちは、だいたい「映画監督に憧れて」という人と、「ジャーナリストになりたくて」という人が多く、2大派閥になっている。あとは放送関係の専門学校卒の人や、他業種からの転職組もいる。

転職組の前職はバラエティに富んでいて、私の周りにもホスト、建築現場作業員、俳優、公務員、ケーキ職人、板前見習いなど、さまざまな過去を持つ人間がいる。彼らはAD(アシスタントディレクター)として業界に入ってきて、次第に腕を磨き一人前になっていく。

「ホラー映画が大好きで、大学の映画サークルで映画を作っていました。映画仲間が普通に会社に就職していくのに腹が立ち、江口洋介さんがフリーターの役をしていたドラマを見てカッコいいなと思ったこともあって、フリーで業界に飛び込みました。

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