足立区の病院「クラスター発生→撲滅」の全記録 立ち入り調査きっかけに「職員の士気上がった」
東洋経済オンライン / 2020年10月2日 18時10分
8月23日に開催された会見で伊藤院長は、60~80代の男女6人の入院患者と50代の男性職員1人、合わせて7人のクラスターが発生したと発表。会見で伊藤院長は「院内感染を発生させてしまったことは、非常に遺憾であります」と陳謝した。区庁舎の会見は通常、ローカルニュースが中心だが、この日は全国紙3社、テレビ局3社が会見に駆けつけるなど、関心の高さをうかがわせた。
伊藤院長はクラスターが発生したことを会見で公表すべきか直前まで逡巡した。職員やその家族へのバッシング、病院の入院患者や同病院をかかりつけとする外来患者が混乱することや、自院が救急患者の受け入れを制限した場合の地域医療への影響を心配した。
しかし、情報を隠すよりも、地域医療の最後の砦としての役割を果たしていることを説明することを選んだ。新型コロナに関して、積極的に情報公開する姿勢を貫く近藤やよい・足立区長が率いる足立区による「病院を全面的に支援する」との言葉を信じて会見に踏み切った。
伊藤院長は会見で、入院治療が必要な患者を引き受ける2次救急病院として、区内外のほかの病院が受け入れを断った新型コロナ疑い患者の中からクラスター患者が出ていることに理解を求めた。
■受け入れた疑い患者から新型コロナ患者が多く出た
また、地域の医療事情は深刻なほど逼迫していて、2次救急病院それぞれで新型コロナ疑い患者、そしてそれ以前の、発熱・呼吸器症状を有する患者の受け入れへの考え方には温度差があり、等潤病院は区内外のほかの病院が断っている新型コロナ疑い患者を受け入れ、その疑い患者から新型コロナ患者が多く出ている事実を知ってほしいと訴えた。
新型コロナによる救急医療崩壊の危機は、新型コロナ患者の治療に当たる感染症指定病院などではなく、等潤病院のような、発熱や呼吸器症状のある新型コロナ疑い患者を受け入れている2次救急病院で深刻だ。感染症指定病院などが新型コロナ疑い患者を受け入れなくなったことで、2次救急病院に救急搬送を依頼するケースが加速度的に増えた。
東京都は、過去に相次いだ救急搬送患者の「受け入れ困難問題」を解消するために2009年8月、「救急医療の東京ルール」を導入した。東京ルールとは救急隊が「受け入れできるか」を医療機関に5回以上照会したか、搬送先選定に20分以上かかったケースで発動される。その後に「地域救急医療センター(センター病院)」に連絡して、受け入れ病院の調整を実施するか、センター病院が直接受け入れる仕組みだ。センター病院の選定は、固定制・輪番制・調整のみ担当など医療圏により異なる。
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