小児医療が崩壊する!患者と収入「5割減」の衝撃 病院数は20年前から3割減、廃業の決断も

東洋経済オンライン / 2020年10月6日 10時10分

そのため赤字が続いていても、費用の6割を占める人件費を削りにくい。「風邪などの軽症患者は減っているが、重症患者の数は減っていない。患者が半分になったからといって、入院の体制を維持するためには職員の数を減らすことができない」(木野理事長)

中野こども病院は、地域の小児医療を維持するには欠かせない存在だ。救急患者を24時間365日体制で受け入れており、広範囲から患者が来る。大阪府内にある8つの2次医療圏のうち、大阪市内だけでなく、北河内(大阪府北東部)、中河内(大阪府東部)地域の患者をカバーしている。輪番制で救急を受け入れる病院は他にもあるが、同院のように常時受け入れる病院は少ない。

こうした小児科専門病院が広範囲から患者を受け入れているのは、小児科医不足を背景に小児科の集約化が進められてきた結果だ。小児科を標榜する病院は2018年時点で2567病院で、1996年と比べて約1200、3割ほど減っている。

鹿児島県日置市にある「鹿児島こども病院」も、24時間体制で近隣地域から救急患者を入れる民間病院だ。新型コロナの入院患者を受け入れる協力医療機関ではないため、空床補償などの補助金は受け取れない。

「県内でまだ感染患者が少ない段階では、当院の役割は別にある」と奥章三理事長は話す。

鹿児島こども病院では40床あるベッドのうち、5床に慢性の重症患者が入院している。集中治療室で治療を終えてからも、長期的に人工呼吸器や人工栄養などの管理を必要とする患者だ。中には15年ほど入院している患者もいるという。同院には空気感染を防ぐ陰圧室がない。

■増え続ける「医療的ケア児」

「1人でもコロナの患者を受け入れたら、この子どもたちは別の病院か在宅に移すしかないだろう」(奥理事長)

同院では、こうした小児の重症患者を在宅で介護している家族が一時的に患者を預ける「レスパイト入院」も受け入れている。「鹿児島県では鹿児島市立病院の新生児センターの満床状態を解消するために、在宅医療への移行が進められている。当院はその後方支援も担っている」と奥理事長。

在宅医療への移行を進めることができるのは鹿児島県だけではない。全国的に在宅で小児患者を介護する家庭は年々増加している。医療技術が進歩し、人工呼吸器や胃ろうなどの治療が必要な低出生体重児や重症新生児が増えているからだ。こうした子どもたちは「医療的ケア児」と呼ばれ、厚生労働省の推計によると2018年時点で在宅で看護されている医療的ケア児は約2万人。2005年の約1万人から倍増している。

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