太田光「オワコンと呼ばれるテレビの真の凄み」 なぜ俺はテレビの仕事にこだわりがあるのか

東洋経済オンライン / 2020年10月16日 13時0分

太田光氏がテレビとネットの違いを語る(写真:扶桑社提供)

「世間の常識」に異議あり――。「ウィズコロナ」の新しい日常を考えていくヒントがちりばめられた、爆笑問題・太田光氏の書籍『違和感』から一部を抜粋・再構成し、太田氏のメッセージをお届けします。

■テレビは本当に「オワコン」なのか

倉本聰脚本のドラマに『やすらぎの郷』という作品がある。2017年にDVD化もされたんだけど、俺は、昼ドラで放送されていた頃にリアルタイムで見ていた。

このドラマの設定が独特で、倉本さんが考える「テレビがよかった時代」の人だけが入ることを許される老人ホームが舞台なのね。その影響で俺は、テレビを見ていても「この人は入れるかな? この人は無理だろうな」なんてことを自然と考えちゃうようになったんだけど、まぁ、俺自身にはその老人ホームからの招待状は、たぶん届かないだろうなっていうね(笑)。

だって、いまのテレビでレギュラーを持っているような俺は、倉本さんの価値観で言えば、テレビをダメにした張本人のひとりだから。

ただね、ひとつだけ違和感があるのは『やすらぎの郷』には、バラエティ班が入っていないということ。浅丘ルリ子さんだとかの女優や、倉本さん自身を投影しているであろうドラマの脚本家はいるんだけど、バラエティ出身者がいない。そんなことを考えていた時期に、高田文夫さんが本を出して、その著書のなかにも、同じような指摘があった。

そのことを田中と自分たちのラジオでしゃべったんだけど、「もしかしたら、高田さんにさえ招待状は届かないかもしれない。バラエティだから」「こりゃ、バラエティ班は別の郷を作ったほうがいいかもな。『地獄の郷』とかね」なんて好き勝手にしゃべってたわけ。

そしたら高田さんが、その時のオンエアを聴いていてくれたみたいで、今度は高田さんの自分のラジオで、俺たちの会話を引き合いに出してくれつつ「でも、そんなことしたら最悪の老人ホームができるぞ」つって(笑)。「みんなが好き勝手ぺちゃくちゃしゃべるだろうから、全然くつろげない」なんていうね。

ところが、それからしばらくしたら、バラエティ番組でも活躍している毒蝮三太夫さんが『やすらぎの郷』に入所できたから「あ、まむしさん、入れてもらえたんだ!」とすごく驚いちゃって、「いいなぁ」と真剣にうらやましかった。まぁ、そんな驚きやうらやましさは、もはや現実とドラマの区別がつかなくなっているってことなんだけど(笑)。

現実社会では、テレビを「オワコン」(終わったコンテンツ)と呼ぶ人もいる。そんなことを言われたら、さっき口にしたような自覚があるとはいえ、まぁ、ムッとはするじゃない? それはどんなジャンルの人だってそうで、テレビでオワコンだと言ったひとりの茂木健一郎さんだって「脳科学業界はオワコンだ」って言われたら怒るはずでしょ?

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