日本の「攻撃力強化」を米国が心底望まない訳 イージス・アショア停止でどう自国を守るのか

東洋経済オンライン / 2020年10月16日 7時50分

「イージス・アショア」の配備計画の停止を決めて以降、日本はいまだに新たなミサイル防衛手段を講じられていない(写真:Reuters)

巨大な長距離ミサイルと新しい潜水艦発射兵器――。北朝鮮で10月10日に開かれた軍事パレードに登場した数々のミサイルの派手な画像は、平壌の観閲台を華々しく通り過ぎただけでなく、日本政府にとっては大きな驚異となった。

北朝鮮が日本全土のみならず、それを越えて攻撃する能力を示したことは、日本海沿岸の2カ所で陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画の停止を決めた日本にとって、新たなミサイル防衛手段を考えなければいけない事態に追い込んだ。

■オンショアの代替案も出ている

新型コロナウイルスによるパンデミックと経済の縮小に直面している菅義偉首相の新政権にとって、これは最も困難な課題かもしれない。

日本の防衛関係者は目下、陸上配備の代替案を検討しているところだ。1つのオプションは、ミサイル迎撃システムを陸地から移動し、船または石油掘削リグなどのプラットフォームに設置する一方で、レーダーを陸上に残すことである。より論議を呼びかねない案は、重点を防御から攻撃に移し、長距離ミサイルを使用して、発射される前に北朝鮮のミサイルを攻撃し、潜在的な脅威を除く方法だ。

アメリカは横から口を出すことなく、日本が自ら決めることに委ねている。しかし、舞台裏では、アメリカ国防総省と緊密に連絡を取っている主要なアメリカと同盟国の防衛専門家は、日本がどちらのオプションを選択するにせよ、決定を実行するためのリソースを持っているかどうか疑問を抱いている。

さらに深刻なことに、防衛専門家らは、北朝鮮の対日攻撃、とくに専門家が「拡大抑止」と呼ぶ限定的攻撃にも対応するというアメリカの保証の信頼性が揺るぎかねないと強い懸念を抱いている。

カーネギー国際平和基金のジェームズ・ショフ氏は、「攻撃が限定的な場合、日本人はアメリカが北朝鮮を攻撃する意思があるかどうか疑問を抱いている」と話す。

「実際、アメリカが日本の代わりに北朝鮮を反撃し、朝鮮半島で戦争を引き起こすようなリスクを冒すことはないだろう。もちろん、全面的な攻撃があった場合は別だが」と、日本研究に関する第一人者であり、当選すればジョー・バイデン政権に加わる可能性が高い、元オバマ政権の防衛当局者のショフ氏はみる。

アメリカの防衛専門家は、ほかのアメリカの同盟国と同様に、日本が直接攻撃能力を持つことにある程度の価値は認める。しかし、彼らはこうした能力は既存のアメリカの防衛軍と統合されるべきであり、より緊密な共同指揮下に置かれるべきだと主張する。

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