部長昇進を望まない人がジワリと増えている訳 20代金融マン「重い責任、割りに合わない」

東洋経済オンライン / 2020年10月20日 10時10分

今よりも収入も権限も増えるのに、なぜ「部長になりたくない社員」が増えつつあるのか?(写真:tadamichi/PIXTA)

最近ある大手企業で起きた「事件」を知り合いのコンサルタントから伝え聞きました。その大手企業A社では毎年、課長が部長に昇格するために、東京で昇格試験を実施しています。日本全国・海外の本体・グループ会社から100名前後が受験するのですが、今年は地方のグループ会社に所属する数名が受験を辞退したそうです。

辞退の理由は、新型コロナウイルス。「コロナが蔓延する東京に出張して受験することについて、家族や親族から反対された」ということです。今回は、この事件の注目点について考えてみましょう。

部長昇格試験の受験を拒否した今回の事件は、2つの点で驚きです。

■部長よりも「課長」でいたい

第1に、親族との濃密な関係に驚きました。今回、受験を辞退した人は、昇格試験という個人的なことを親族に伝え、親族の意向を踏まえて「出世を諦める」という人生の意思決定をしました。

東京・大阪など都市部に住む人の多くは、親族と遠く離れて住み、盆暮や冠婚葬祭で顔を合わす程度。その程度の交流すらおっくうに感じる人が増えており、ましてや親族に「来月、昇格試験を受けるんですよ」と打ち明けることは、まずありません。

仮に親族から何か言われても、スルーするもの。良い悪いは別にして、地方には、親族と濃密に接触し、親族の意向を尊重するという文化が残っているようです。

大半のマスメディアは東京にあり、東京など都市部の出来事を主に報道するので、地方の事情はあまり注目されません。しかし、コロナへの恐怖心にせよ、親族との関係にせよ、地方には都市部とは大きく異なる社会があるということでしょう。

そして、私がさらに驚いたのが2点目です。大手企業の課長にとって、部長への昇格が大して魅力的ではないとわかったことです。

課長も部長も、組織の中間管理職という点では同じ。ただ、大手企業では、同期入社の5割以上が課長級になれるのに対し、部長級には1~2割しかなれません(企業によって割合は異なります)。

報酬も、社内での権限も、社会的なステイタスも、課長と部長では大きく違います。にもかかわらず、今回多くの受験辞退者が出たのは、課長にとって部長になるメリットは意外と小さく、ずっと課長のままでいるほうがいいという考えからでしょう。

「へえ、最近はそういう感じなんだ」で済ましてしまいそうですが、実は企業にとって重要な問題です。

伝統的に日本企業では、オペレーションを担う現場の人材は質量とも豊富ですが、「超一流」と称される優良企業でも、事業を牽引できる優秀なビジネスリーダーはまったく不足しています(新入社員ほど「コロナで損する」日本企業の失態参照)。

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