トヨタの成果主義拡大「6.5万人評価」の試練 新賃金制度では定昇がゼロになるケースも

東洋経済オンライン / 2020年10月25日 7時20分

豊田章男社長は賃金制度改革でもアクセルを踏み込む。写真は2019年5月の決算会見(撮影:風間仁一郎)

トヨタ自動車が賃金制度改革で一歩踏み込む。毎春の定期昇給において、一律部分をなくし評価に応じて昇給幅を決める新制度を2021年から導入する。9月末にトヨタ自動車労働組合の定期大会で新制度導入が可決された。

現在のトヨタの基本給は2つにわかれており、職位に応じて一律に決まる「職能基準給」と各々の評価によって決まる「職能個人給」がある。基本的に同じ職位の社員であれば職能基準給の定昇額は一律だが、職能個人給は評価によって差がある。

新制度は、この2種類の基本給を「職能給」に一本化する。これによって定期昇給から「一律部分」がなくなることが最大のポイントだ。

■競争力強化に賃金制度も変える

新制度によって各社員の評価の違いで定昇額の差はより大きくなる。評価が悪ければ「定昇ゼロ」もありうる。いわば、成果主義の拡大だ。2021年からトヨタの一般組合員、約6.5万人に適用される。「頑張った人がより報われるようになる」というのが労使双方の狙いだ。

トヨタは今春の労使交渉で賃金のベースアップ(ベア)を見送った。ベアゼロは2013年春闘以来7年ぶりだ。豊田社長は「これからの競争の厳しさを考えれば、すでに高い水準にある賃金を引き上げ続けるべきではない」とする一方、「トヨタで働く人たちの雇用は何としても守り抜く。そのために、もっともっと競争力をつけなければならない」と強調した。

これに対し、トヨタ労組の西野勝義執行委員長は「あらゆる職場で競争力を強化していく」と応じ、トヨタが進める改革に協調する姿勢を示した。働きぶりを賃金に反映させてメリハリをつける今回の制度改革もその一環といえる。

では具体的に従来の評価体系と何が変わるのか。総合職にあたる「事技職」では、職能個人給の評価はA~Dまで4段階で評価を行ってきた(個別ケースとしてE評価もごくまれにある)。

新制度では、このD評価の扱いが変わる。係長にあたる主任職ではDを「D1」と「D2」に分ける。D1の昇給額はCの半分以下を想定し、従来のDよりも昇給が低下する。D2になると「期待を下回り、フィードバックしても改善が見られない」という評価で昇給ゼロとなる。

■優秀者はより早く昇格

D1、D2で全体の10%。そのため、D2と評価された人がいなくても、昇給が従来よりも大幅に下がるD1の人は必ず出てくる。職責が重いゆえに、期待を下回るパフォーマンスだと厳しい評価が下る仕組みに変わった。

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