広島世羅「まずいワイン騒動」は何がまずいのか 「売れない特産品」を量産する地方の無責任構造

東洋経済オンライン / 2020年10月27日 7時40分

広島の世羅町で起きた「ワイン騒動」。何がまずかったのだろうか(写真:jazzman/PIXTA)

私は「まちビジネス事業家」として地域の発展や再生にかかわっているわけですが、ときどき「とてもじゃないが、食べられない特産品」に出くわすことがあります。要は「これでお金をもらおうというのはムリゲー」というわけですが、一方でどんな商品でも「最初から完璧」というものはないもので、「カイゼンしていけばいい」ということでもあるはずです。

■ワインが「まずい」と言った町議は問題なのか?

このことに関連して、先日広島県世羅町でこんな「事件」があったのを耳にした読者も多いのではないでしょうか。すなわち、ある町議会議員が、累積赤字に悩んでいる第3セクター「セラアグリパーク」の取り扱う「せらワイン」に対して「まずいから売れないのではないか?」という趣旨の発言をしたところ、地元関係団体が「不用意な発言だ」「生産者のやる気をなくす」といった声明を出し、町議会ではその町議への辞職勧告決議が可決される事態にまで紛糾したという話です。

食べ物や飲み物には好き嫌いがありますから、ある人にとっては「まずい」と感じるものでも、他の人にとっては「おいしい」ものもあります。私も実際にワインを飲んだところ、決して「とんでもなくまずくて飲めない」というものではありませんでした。しかし、問題はそこではないのです。

売り上げが思ったように上がらず赤字が続き、在庫も積み上がっているような状況からすれば、商品そのものに問題がある可能性を検討するのは妥当なわけです。しかし、そのような発言に対して「生産者のやる気をなくす」などという反論をしてしまうあたりに、特産品開発の問題が透けて見えます。

普通に考えれば、なぜこのような「売れない特産品が作られ続けているのか」が問題の本質のはずであり、そこからは当然「なぜ商品や販売手法などが改善されないのか」ということが問われないといけないはずです。実はこうした話は何も世羅町に限ったことではなく、全国的な問題になっています。

自分でこの20年ほどを振り返ってみても、過去には「たまねぎ入りの焼酎」「売り場の棚に入らない突飛なデザインのドレッシング」「胃に穴が開いたかと思ったほど高酸度の『飲むお酢』」「『どんどん試飲して下さい』と言われても二口と飲めないワイン」などなど、直接手にとった特産品だけでも、驚くべきものが多数ありました。

これらのすべては「ぜひ近くの商店街でも取り扱ってほしい」という要望をもらいましたが、あまりにひどい商品だったので「売れませんので、ぜひ改善を」ということを提言しました。しかし、残念ながら、こうした売り込みをしてきた人たちとはすべて音信不通になってしまいました。

■「分不相応な予算」がつくと、どうなるのか?

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