大塚家具「久美子社長」辞任でも続く視界不良 ヤマダ買収から1年、事実上の更迭で会社を去る

東洋経済オンライン / 2020年11月5日 7時20分

2019年12月の資本提携に関する会見で、ヤマダホールディングスの山田会長(右)は、久美子社長にチャンスを与えたが、久美子社長は応えることができなかった(撮影:尾形文繁)

事実上の更迭の知らせだった。

大塚家具は10月28日、大塚久美子社長が12月1日付で社長と取締役を辞任すると発表した。後任は現会長である、親会社・ヤマダホールディングスの三嶋恒夫社長が兼務する。

会社側は辞任の理由を「2021年度の黒字化に向けて道筋がつきつつあることから、過去の業績の責任を明確にするため、本人から申し出があった」と説明。しかし、この理由を額面通りに受け取る関係者は少ない。元幹部は「業績が回復しない状況を見かねたヤマダが最後通牒を突きつけて、申し出を促したのだろう」と推察する。

久美子社長は2009年の社長就任後、創業者である父・勝久氏(当時会長)の会員制による販売手法や広告への過剰投資を批判し、意見が対立。一度は社長を解任されたが、2015年に復帰した後は勝久氏との経営権をめぐる委任状争奪戦で勝利し、顧客層の拡大に向け会員制販売の廃止や小型店の展開を推し進めた。

が、その後はお家騒動によるブランドイメージの悪化や、商品構成の新鮮味の乏しさなどから顧客離れが深刻化。ニトリやイケアといった低価格SPA(製造小売業)の台頭も受け、2016年度から4期連続で営業大赤字に陥った。2017年の年末からは資金繰りが逼迫し、10社以上のスポンサー交渉に明け暮れる。そして2019年12月、家電と家具のセット提案を強化していたヤマダが同社株式を51%取得した。

■ヤマダ幹部に叱責された久美子社長

久美子社長の経営権に対する執着は強く、資金援助を検討した企業が久美子社長の退陣を条件に挙げたことで、交渉が破談となるケースもあった。昨年末の買収に関する記者会見で、ヤマダの山田昇会長は久美子社長の続投を許した理由を「来期の黒字化という目標へチャンスを与えないといけない」と強調。「(大塚家具は)粗利益率が高いから、売り上げが10%伸びれば黒字化できる」とも語った。

ところがヤマダの思惑は早々に狂い始める。ヤマダからの資金調達により広告投資や改装を強化したところで、久美子社長が指揮を執るままでは客足はそう簡単に戻らなかった。

2020年2月にはヤマダから仕入れた家電の試験販売を始めたが、新型コロナウイルスの感染拡大の時期と重なり、客数回復の起爆剤にはならずじまい。「結果主義」を標榜するヤマダが想定したスピード感で改革は進まず、春先には売り場の運用などをめぐってヤマダ幹部から久美子社長が叱責される場面もたびたび目撃されるようになっていた。

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