富士ゼロックスが個室シェアオフィス参入の訳 テレワーク普及を逆手に事業多角化を推進

東洋経済オンライン / 2020年11月7日 7時30分

横浜市の富士ゼロックス横浜みなとみらい事業所内に設置されているココデスクの模擬ブース(記者撮影)

複合機大手の富士ゼロックスが東京メトロとタッグを組んで開始したボックス型の個室シェアオフィス「CocoDesk(ココデスク)」サービスが好調だ。

こうした個室シェアオフィスが普及した背景には、長引くコロナ禍とそれによるテレワークの増加がある。富士ゼロックスのビジネスプラットフォーム事業推進グループの丹野泰太郎グループ長は「コロナとの相関関係はわからないが、2020年2月のサービス開始時に1時間だった利用時間は1時間以上に伸び、リピート率も毎週向上している」と語る。

■利用料金は15分250円から

テレワークが進み、オンラインでの会議や商談の場の確保に困る人が増えた。富士ゼロックスは駅構内など公共の場に設置されている個室型シェアオフィスに着目。富士ゼロックス以外にも、ブイキューブ、オカムラ、三菱地所の3社が中心となって出資するテレキューブサービスなどが参入している。

富士ゼロックスのココデスクは幅約1.5メートル、奥行き1.1メートル、高さ2.4メートルの大きさで、机や椅子、電源、通信環境などテレワークに必要なツールのほか、空調も整っている。予約は専用アプリで行い、料金も15分250円からと手頃だ。

しかし、印刷機などは設置しておらず、一見すると富士ゼロックスが手がけたサービスとは気づかない。その理由を丹野氏は「(指定可燃物である紙があることから)消防法に触れるという問題もあるが、設置していない一番の理由は顧客からの強い要望がないため。われわれのリソースをすべて提供するのではなく、マーケットインの形で製品を設置したい」と話す。

現在は都内の大手町や霞ケ関などの地下鉄駅やオフィスビルを中心に40台を設置している。今後は都市部を中心に駅やオフィスビル、空港などビジネスパーソンが利用する場に幅広く展開していく狙いだ。

富士ゼロックスが個室型シェアオフィス事業に乗り出したきっかけは、社内の営業パーソンからの声だ。テレワークが導入され、ノートパソコンなどのツールを支給された。しかし、「取引先との電話などの際に、出先でプライベートかつ周囲の音が気にならない場所を見つけるのが難しい」という声があがった。

ただ、都市部ではセキュリティが担保されたプライベートな空間を確保するのは難しい。そんな中、富士ゼロックス社内のあるイベントで、東京メトロが地下鉄駅構内の空いたスペースの活用法に悩んでいることを知った。東京メトロは従来、自動販売機や証明写真機、ロッカーなどを設置していたが、それらを設置できるのは人通りの多い場所に限られていた。

■2018年から実証実験をスタート

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング