「GoTo延長問題」に致命的に欠けている視点 コロナ前から抱えていた課題克服を優先すべき
東洋経済オンライン / 2020年11月20日 7時30分
新型コロナウイルス感染症で最も大きなダメージを受けたのは観光業であろう。コロナ禍で観光需要が文字どおり消滅したからだ。一方で、国内宿泊観光旅行は新型コロナウイルス発生以前から課題を抱えていた。
『経済がわかる 論点50 2021』(みずほ総合研究所著)の執筆者の1人である岡田豊氏が、執筆者の1人である岡田豊氏が、「GoTo延長問題」に「欠けている視点」について解説する。
■コロナ禍で未曾有のダメージを受けた観光業
日本政府観光局によると、2020年4月の訪日外国人数は前年同月比マイナス99.9%のわずか2900人にとどまり、訪日外国人数の統計のある1964年以来、最少となった。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、日本との往来の多い諸外国のほとんどで観光目的の出入国に大きな制限が設けられており、海外旅行者数は世界中で急減している。
また、日本国内では同年4月に出された緊急事態宣言下で不要不急の外出の自粛が強く求められたうえ、全国で緊急事態宣言が解除された同年5月下旬以降も大都市を中心とした感染拡大から、県境を越える移動を自粛する動きが広がった。このため、国内観光需要は大きく減少した。
例えば、観光庁によると、国内主要旅行業者の取扱額は同年3月に急減し、4月から6月にかけて旅行需要がほぼ消滅している。
また、7月、8月は新型コロナウイルス感染症の「第2波」への恐れから東京都がGo Toトラベルから除外されるなどがあり、9月になって若干減少率が小さくなっているものの、回復のペースは緩慢だ。
さらに、Go Toトラベルに東京都が追加された10月についてデータが取れる東海道新幹線の対前年比の輸送量(東京側)を見ると、27日までの数値ではマイナス56%と、4~8月の平均マイナス79%に比べて若干戻っている。ただし、11月は主要観光地の1つである北海道や大都市などで、いわゆる「第3波」が脅威となりつつあり、冬季の感染拡大状況が収まらなければ、観光需要は再び低迷する可能性が高い。
欧米を中心に感染者数の拡大傾向が今なお続いていることなどから、世界中の多くの国でいまだ新型コロナウイルスが収束したとはいえない。そのため、外国人の観光目的での日本への入国における制限の全面解除は容易ではなく、近年活況を呈してきたインバウンドに大きな期待をかけるのは当面難しい。
観光庁によると、2019年の国内における旅行消費額は27.9兆円であるが、そのうち訪日外国人旅行は4.8兆円、日本人の国内日帰り旅行は4.8兆円、日本人の海外旅行(国内分)は1.2兆円となっている。
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