豪雨で被災「肥薩線」はいまどうなっているのか 橋も線路も流され、再開は長期戦の様相に

東洋経済オンライン / 2020年11月24日 17時0分

平常時の川面からは信じられないが豪雨による濁流は線路を呑み込み路盤ごと押し流した。付近の八代市坂本町横石ではピーク時の水位12.43mを観測した(段ー坂本間、写真:久保田 敦)

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2021年1月号「土壇場の肥薩線」を再構成した記事を掲載します。

先の豪雨は7月3日から同月いっぱいの長期間、九州から東北地方まで広がる各地を次々に襲った。

その始まりとなった九州の雨は、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会(国土交通省九州地方整備局、熊本県)の資料によると、3〜4日の2日間で7月1カ月の平均雨量に相当する降雨量、球磨川流域では線状降水帯が形成され時間雨量30mmを超える激しい雨を8時間連続で観測、球磨川中流〜上流部や川辺川の観測所で観測開始以来最大雨量と最高水位を記録、浸水面積約1020ha(ヘクタール)、浸水戸数約6110戸…などと異常な様子が列挙されている。

政府は7月10日に激甚災害(復旧事業に国費を充てて自治体負担を軽減する)、31日に非常災害(市町村管理の道路・河川等の復旧工事を国が代行する)に指定した。

■復旧の方向性はいまだ決まらず

JR九州は7月12日に被害状況を発表、その時点で、久大本線145件、肥薩線65件、鹿児島本線26件、その他線区109件、合計345件としていたが、その後21日に合計730件、うち肥薩線450件と発表し直した。12日までの段階では全く踏み入れることができない箇所が多々あり、その後の調査でようやく全容が判明したのだった。

下って28日、青柳社長は会見で、「再開は1年程度では済まない」と述べ、さらに前後して新聞等では、治水の方向が定まらなければ鉄道の復旧額は決まらないとしながら、それでも100億円を超す過去最大となり、会社単独での復旧や、復旧後の維持に多額の費用が見込まれ「非常に厳しい。どう復旧していくかは一企業だけの問題ではない」と語ったと報じている。その後、10月に至るまで新たな発表等がないことから、容易に方向性を口にできる状況ではないと推察できよう。

10月14日、八代から人吉へ車を走らせた。球磨川に沿う主たる道路は国道219号だが2車線と細く、さらに対岸の県道は一部ではすれ違いも困難な隘路である。そしてどちらも現時点では一般車両通行不可とされている。災害復旧や生活再建等で通行する車両は、国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所が配布する「注意事項」を携行しなければならない。

通行止めの看板から球磨川左岸の国道219号に入ると、すぐに谷に入り八代市街は尽きる。肥薩線は右岸なので西部大橋を渡ると、八代から1つ目の段駅がある。通過してきた下流側に九州新幹線の橋梁を望み、青空を映す球磨川は穏やかであった。単線1面の無人駅はレールが錆びていたが、それ以外の変化はないようだ。

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