倒産だけじゃない企業のさまざまな「死に方」 そもそも企業が生きているとはどういうことか

東洋経済オンライン / 2020年11月27日 10時30分

企業が「死ぬ」とはいったいどういうことだろうか(写真:まちゃー/PIXTA)

新型コロナウイルス関連の倒産(負債1000万円以上)が全国で600件を超えたという発表が先日あった。業種別では飲食業や観光・宿泊業を中心に厳しい状況が続いていることがうかがえる。

東京商工リサーチによれば、約9割がそのまま消滅する倒産で、民事再生法を受けた企業は1割未満だった。このことから新型コロナによる倒産企業のほとんどは、コロナ禍以前から業績不振が続いており、今回のパンデミックで倒産を余儀なくされたということがわかる。

しかし、そもそも企業はなぜ潜在的に倒産や合併などの「死」のリスクを抱えているのか。ビジネスに物理学の方法論を適用するという研究をおこなう理論物理学者、ジョフリー・ウェストはコロナ・パンデミック以前から企業が倒産に陥る潜在的な理由について考察をめぐらせていた(この記事は、ジョフリー・ウェスト『スケール:生命、都市、経済をめぐる普遍的法則』から、一部抜粋・再構成してお届けします)。

■企業の死は驚くほど単純

若いころに急成長して、売上1000万ドル以上になったほぼすべての企業が、最終的に株式市場の波の頂点に浮上する。これらの多くは鼻をギリギリ水面の上に出して営業しているような状態だ。これは不安定だ。大波が来れば、溺れてしまいかねないからだ。損失に苦しんでいるなら言うまでもなく、たとえ利益が指数関数的に増えても、市場の成長に追いつけなければ企業は危うい。

市場だけでなく、自社の財務状況も持続的な浮沈を繰り返しているから、それに耐えるだけの体力が企業になければ、危うさは悪化する。市場の大きな変動や予期せぬ外部の動揺や衝撃は、売上と費用がギリギリの企業にとっては、タイミング次第で破滅的だ。縮小と衰退が引き起こされ、なんとか挽回できることもあるが、状況が厳しければ大惨事となり、破滅を迎えかねない。

この一連の出来事には、どこかで聞き覚えがあるだろう。私たち自身に死をもたらすものと大差ないからだ。人間もまた、生物学者が「恒常性」と呼ぶ、代謝と維持費用の均衡をギリギリで保っている。加齢とともに、生きる過程に固有の摩滅がもたらす修復できないダメージが積み重なって、変動や動揺に対する復元力を失い、どんどん脆弱になる。

一度「老齢」に達すると、若い頃や中年の頃には対処できたようなインフルエンザ、肺炎、心臓発作、脳卒中が、しばしば致命的になる。やがて、ちょっとした風邪や不整脈ですら死をもたらしかねない段階に達する。

■「企業の死」の定義は

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