三井不動産、「東京ドーム買収劇」までの内幕 買収の先に見据えるのは後楽園再開発?
東洋経済オンライン / 2020年11月28日 8時0分
三井不動産は11月27日、東京ドームにTOB(株式公開買い付け)を行い、完全子会社化すると発表した。買い付けは30日より開始され、買い付け規模は約1205億円となる見込みだ。
東京ドームをめぐっては、コロナ禍でプロ野球をはじめとするイベントの開催延期や中止が相次いだほか、物販やホテルの売り上げが落ち込んだ影響で、2020年2~7月期は98億円の純損失を計上した。加えて香港投資ファンドのオアシス・マネジメントから経営陣の刷新を求められるなど、苦しい経営状況にあった。
そんな中で降って湧いた三井不動産による救済劇。事の発端はまだ「コロナ禍」という言葉すら一般的でなかった2020年1月にまで遡る。
■全株を買い取る用意があった
東京ドーム株を9.61%保有するオアシスは1月30日、東京ドームに対して買収を仄めかす書簡を送付した。東京ドーム株を1株1300円(30日時点の終値は1013円)で、全株を買い取るという内容だ。
その翌日、オアシスは「より良い東京ドームへ」と題する経営改革案を公表。現状の東京ドームは、ドームやホテルなどへの投資が不十分であり「宝の持ち腐れ」と指弾。ドームへのサイネージ広告導入やホテル・遊園地の運営効率化など、オアシスの改革案を実行すれば収益改善や株価上昇に寄与するとうたった。オアシスはいわゆるアクティビスト(物言う株主)であり、経営陣に対して揺さぶりをかけた格好だ。
突然の申し出に対して、ひとまず東京ドームはオアシスと協議の場を設けた。面談は2月中旬及び6月中旬に行われたものの、オアシスから具体的提案を受けることはなかったという。これ以降交渉の進展はなかったが、その理由については「経営陣との建設的な対話が繰り返し拒絶された」(オアシス)、「6月以降オアシスから面談の要請はなかった」(東京ドーム)と、両者の言い分は食い違っている。
オアシスとのつばぜり合いをよそに、コロナ禍がじわじわと東京ドームの業績を蝕んでいく。2月頃からイベントの中止やホテルの宿泊・宴会のキャンセルが目立ち始め、3月には遊園地の「東京ドームシティアトラクションズ」が休園。プロ野球の開幕延期も決まり、東京ドームの稼働率は前年の4割まで下がることが濃厚となった。緊急事態宣言を挟んで5月から営業を再開したものの、外出自粛や行動様式の変化で客足が思うように戻らない。
築32年の東京ドームを始めとする老朽化した施設の刷新、東京ドームシティ内での回遊性向上、東京ドームシティ以外の事業とのシナジー創出――。ウィズコロナ時代を迎えるにあたり、東京ドームの抱える課題は山積していた。「急激な環境変化に対応するには、東京ドームシティ全体の再整備が必要だ」。危機感を募らせた東京ドームは、他社との提携を模索し始める。6月上旬、不動産開発やコンテンツなど相乗効果が見込まれる企業に対して、資本業務提携の打診に動き出した。
■キューピットはあの読売新聞
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