「根性論が消えない」日本スポーツ界の時代錯誤 求められる「持続可能なスポーツ環境」の実現

東洋経済オンライン / 2020年12月27日 8時30分

帝人もCSRの一環としてのスポーツ支援活動について紹介した。また、ソフトバンクは小中学生がスポーツマンシップを学ぶ「Pepper」の特別オンライン授業を開催した。

こうした取り組みを見ると、「子どもの権利とスポーツの原則」というユニセフの理念が、SDGsの考え方を媒介として、ビジネスと結びついていることがわかる。

■進まないスポーツ界の改革

ただ、今回のイベントに参加した企業や団体は「意識が高い」一部の組織だ。「子どもの権利とスポーツの原則」を十分に理解して、それを行動に移していることがわかるが、一方で日本のスポーツ界は、遅々として改革が進まない。

今年9月25日には、兵庫県宝塚市の中学で、柔道指導者が1年生の男子生徒2人に体罰を加えて骨折させた。その原因は、学校の冷凍庫に保管していたアイスクリームを当該生徒が無断で食べたことだったとされている。県教委は教員でもあったこの指導者を懲戒免職にし、全日本柔道連盟は除名にした。

これまで生徒に対する暴力事件を起こした指導者の多くは、注意や謹慎処分を受けただけで免職にもならず、競技団体も責任追及をすることがなかったため進歩だといえるが、それまでは厳しい処分が下されることはまれだった。

また、日本学生野球協会は12月18日に審査室会議を開き、部活動で問題があった高校の処分を決めた。「1年生部員に素手でノックを受けさせ、左手に3週間のケガを負わせた、藤嶺藤沢(神奈川)の監督(47)は、10月9日から来年1月8日まで3カ月の謹慎」など7つの高校の処分をしたが、そのすべてが体罰や暴言、部員同士の暴力沙汰だ。

本来であれば暴力を否定しない指導者は即刻退場させるべきだが、いずれも数カ月の謹慎処分であって、来春の都道府県春季大会への出場にはまったく影響がない。日本学生野球協会も「子どもの権利とスポーツの原則」の協賛団体の1つだが、この理念を十分に理解しているとはいいがたい。

さらに、読売ジャイアンツの阿部慎之助二軍監督は、練習試合で負けたあと、選手たちに「罰走」と称してランニングを科した。本来であれば、全国の野球少年の手本となるべきプロ野球が、まだこんな旧態依然とした指導を行っているのだ。

筆者はスポーツ指導のあり方を考えるセミナーや会合によく出席するが、痛感するのは「今この話を聞いている人たちに問題があるのではなく、この場にいない人。こうした問題に関心がないスポーツ指導者にこそ、問題がある」ということだ。

選手に罵声、暴力をふるったり、強制的にハードな練習を科したりする指導者は、そうした指導が選手の成長に結びつかないばかりでなく、日本スポーツに対する偏見を助長し、スポーツの将来に暗い影を落とすことを痛感すべきだろう。

広尾 晃:ライター

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