スマホ断ちできない人はその危うさを知らない 依存症が重症化すると回復できても困難になる
東洋経済オンライン / 2020年12月29日 18時30分
「スマホは依存物です。人によっては、依存症に陥ります」
快楽と同時に不快も生じる、それが依存症の正体だ。快楽という「正の強化」と、不快という「負の強化」の二面性をもち、終わりなく続く不快感に耐え切れずに再び依存物に手を出してしまう──そんな依存症の恐ろしさを精神科医・中山秀紀氏の著著『スマホ依存から脳を守る』からお届けする。
■依存症の複雑な因子
依存物は石コロと同様に、動きません。一見すると、人間のほうから勝手に「自分の意思」で引き寄せているだけです。しかし、実際に依存症になると、「正の強化(依存物を使用したときの「快楽」)」と「負の強化(依存物を使用しないときの「不快」)」の両方の作用によって、ブラックホールなみに依存物に吸い寄せられます。人間にはその「強い引力」が見えていないだけです。
スマホやオンラインゲームの重症の依存症の人で、「何となく」「簡単に」依存物を断つ人は稀です。いつでも自由に依存症から逃げられるように見えますが、実際には依存物からの見えない引力に捕まっているので、「いつでも止められるよ」といいながらスマホやゲームを続けてしまいます。
このような依存症の進行は、環境によっても左右されます。そもそもその依存物を手に入れやすい環境なのかどうか、周囲の人がその依存物を使っているかどうかは特に大きく影響するでしょう。たとえば家でも学校でも、スマホを使う人が誰もいなければ、またはインターネットやテレビ、雑誌などからそれらの情報を得なければ、子どもたちはオンラインゲームやスマホをしようとは思わないかもしれません(残念ながら、現在の日本ではそのような環境を作ることは困難です)。
また、学校や家庭環境、友人関係、外的ストレス、性格など、複雑な背景が関連していることもあります。依存症は別の因子にその悪影響の原因を押しつけて、自らはどこかに隠れてしまうのです。そのために、
「自分が1日中家でゲームをしているのは、学校で嫌なことがあるからだし、他に何もすることがないからだ……。決してスマホやゲームのせいじゃない」
と、患者本人も、病の責任を別のものに転嫁してしまいます。
依存症という病が、気づいた時点ですでに重篤であるのは、こうした原因の見えにくさのせいであることがおわかりいただけるでしょうか。だからこそ、未病の段階からの予防は、どんなにしてもし過ぎることはないのです。
こうした依存症は、借金にたとえることもできます。
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