鉄道運賃「コロナ値上げ」実施への高いハードル 収益回復と利用者負担のバランス感覚が必要だ

東洋経済オンライン / 2020年12月30日 6時40分

コロナ禍により鉄道各社で通勤・通学需要や特急の利用が落ち込んでいる(写真:F4UZR/PIXTA)

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらないまま年末を迎えた。鉄道事業者にとっても受難の日々が続く。優良企業のJR東日本やJR東海、大手民鉄も2021年3月期はほとんどが大幅な営業赤字になる見込みである。

最近発表された2021年3月のダイヤ改定では、終電繰り上げ、列車本数の削減、ワンマン運転の更なる導入が計画されている。

そのようななかで、運賃値上げや時間帯別運賃の話などが聞かれるようになってきた。減収があれば経費削減とともに値上げをするというのは鉄道業界に限らない。ということは鉄道事業においても運賃値上げが利益回復の手段として有効になるのだろうか。

■運賃に設けられた規制

鉄道事業者の運賃には規制が設けられている。

鉄道事業者が運賃を改定するには、国交省から上限運賃額の認可をうける必要があり、自由に青天井で輸送サービスの対価である運賃を決めることができない(鉄道事業法第16条第1項)。特急料金、グリーン料金、寝台料金などの速達サービスや特別施設の使用料金は事前に届出をすれば足りるが(同法第16条第4項、同法施行規則第34条第1項)、新幹線特急料金は運賃と同様に認可が必要である(同法第16条第1項、同法施行規則第32条第1項)。

運賃の認可を受ける場合、「適正な原価に適正な利潤を加えた額」(総括原価)を認可後の運賃による総収入を超えてはならない、という枠組みがある(同法第16条第2項)。鉄道事業は始めるにあたって莫大な資本の投下が必要になり、維持をするにも多くの経費が必要になる。

したがって、鉄道事業者は投下資本を速やかに効果的に回収したい。一方、地域の公共交通機関としての役割が鉄道にはあり、かつ、地域独占企業となる場合が多い。そのため、鉄道事業者の自由な運賃設定に委ねていると、公共交通機関としてふさわしくない運賃設定がされる可能性がある。

そこで鉄道事業者に一定の利益を確保させつつ、利用者に過大な負担がかかる運賃とならないものとなるようにするのが現行運賃認可制度である。

■認可対象は運賃の上限

認可の対象は個別具体的な上限運賃である。認可を受けた上限の範囲内であれば鉄道事業者は割引運賃、特定運賃など低廉な運賃の設定など自由にできることとなる。たとえば、200円の上限運賃を認可された場合には、鉄道事業者の判断で180円としたり、具体的な通常運賃を200円としたうえで一定の条件を満たす場合には180円の割引運賃としたりすることができる。

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