「中学受験」コロナ禍で慌てる親が今すべきこと 教育ジャーナリストおおたとしまさ氏が語る

東洋経済オンライン / 2020年12月30日 15時0分

今回、こうして外部の人たちが見に行けなくなったことにより原点回帰し、生徒たち自身が知恵を絞り、考えて、自分たち中心のイベントにできたことは、良かった点だと思います。

来年以降、行事の見学などが解禁されてからのことをお話しすると、こうした行事などに参加した際に、親御さんはどこを見ていますか?という点です。つい、「この学校はここがいい」とか、「ここがちょっといまいちだ」と、学校を評価しがちです。ですが本当は、親として一番見なければならないのは、自分の子どもの顔なのです。

どの学校に行った時にどんな表情をしていたのか、それが一番の情報のはずで、志望校選択の答えは子どもの中にあるものです。その学校の環境の中にいるわが子がそこに馴染んで見えるか、楽しそうに輝いた表情をしているか、そこが一番のポイントです。

一時のわくわく感よりも、”ここにいる自分が好き”という感覚のほうが、長い人生の中では後々大きな意味を持つようになるのです。学校選びのコツはただひとつ、「考えるな、感じろ」です。ビジネス的な観点ではなく、その子がそこで豊かな人生を送れそうかどうかという観点で選んでほしいなと思います。

■オンライン化の早い学校がよい学校?

また今年はコロナ禍の一斉休校の時に、学校がどのような対応をしていたかというのも学校を選択する基準としてみている方もいたと思います。みなさんにひとつ考えてほしいことは、早くからオンラインをやった学校が素晴らしいのかという部分です。取り組みが早ければ早いほどいいかと言えば、そういうことでもないと思うのです。

例えば、政府がものすごく強い力を持ってる国においては、決断は早い傾向にあります。一方で、民主的な国であればあるほど、「どうする?」という議論をしてから決めるため、どうしたって決断が遅くなるということがあります。

でも、その議論が無駄になるということではなくて、その後に生きてくるはずです。それが、民主的な社会の運営の仕方だと思うのですが、それと同じで、普段から民主的な学校運営をしているところほど、先生たちの意見をまとめるのに苦労したはずなんですよ。

それは、決して悪いことではないと思います。むしろ、決断の早かったところというのは、もしかすると、学校運営もトップダウンの組織なのかもしれない。そういう観点でみることもできると思うのです。

■6時間もの会議と思えば…

例えば、Zoomで6時間もの会議があるとなれば、大人でも大変です。それは子どもにとって同じことで、ずっとオンラインで授業をうけるというのは大変だと思うのです。

オンラインを使っていつも通りに6時間授業をやったというのが良いことなのか。子どもへの負担を考える時、普段とは違う状況で、いつも通りということが、必ずしもいいとは限らないわけです。

少し前に漫画『二月の勝者』の作者の高瀬志帆さんとオンラインでお話する機会がありましたが、彼女は「この未曾有の状況の中で、学校としては慎重なぐらいのほうが子どもの命を大切にしてくれているんだなというふうに感じて私は好きだ」と言われていました。僕もそれに近い感覚があります。

休校措置がとられた1学期の成績をどうするかという議論があったのですが、たとえば神奈川県の栄光学園は、無理に成績をつける必要はないんじゃないかと、1学期の成績をつけないという英断をしました。これは立派なことだと思います。こうした柔軟な対応ができるかどうかも、学校選びのひとつの基準になるというふうに思います。

宮本 さおり:フリーランス記者

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