運転士38人が感染「大江戸線減便」が示す深刻度 同線担当の15%、人員不足で運行本数7割程度に
東洋経済オンライン / 2021年1月8日 8時0分
新型コロナウイルスが猛威を振るう中で迎えた2021年。政府は1月7日、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県を対象に緊急事態宣言の発令を決定した。
感染の拡大が止まらない中、東京都心の足にも影響が及んでいる。都営地下鉄大江戸線は運転士にコロナ感染が広がり、通常運行に必要な人員確保が難しくなったため、昨年12月27日から運行本数を通常の7割程度に削減。1月11日まで減便が続く予定だ。
国内で感染が広がりはじめた昨年春ごろから、乗務員の感染による鉄道運行への影響を懸念する声はあったが、ついに都内の地下鉄で現実となった。鉄道関係者からは「乗務員に広がると影響が大きく、他人ごとではない」との声が漏れる。
■運転士38人が感染
感染は、都営地下鉄大江戸線の「清澄乗務区」に所属する運転士の間で広がった。まず12月15日に1人の感染が判明。その後25日までに同乗務区に所属する運転士計15人の感染が確認された。
濃厚接触者を含め運転士21人が出勤できなくなり、東京都交通局は26日、同線の運行本数を翌27日から通常の7割程度に減らすと発表。併せて同乗務区全職員へのPCR検査(自主的スクリーニング検査)を25日から順次実施していることを明らかにした。感染者数は検査結果の判明により増え、1月3日までに計39人(うち運転士38人)の感染が確認された。
都交通局によると、大江戸線で営業列車を運転する運転士は清澄乗務区に167人、もう1つの乗務区である光が丘乗務区に80人が所属しており、今年1月1日時点で計247人。全運転士の約15%に感染が広がった計算だ。通常時は1日に約160人の運転士が出勤するといい、全運転士のうち約20人が出勤できなくなると「毎日160人勤務の体制を回すうえで影響が出る」として減便に踏み切った。
減便ダイヤは、新型インフルエンザに備えた事業継続計画が基になっているという。都交通局によると、「同計画に基づくダイヤを基本とし、修正して対応した」(広報担当者)という。
感染経路について、都交通局は「現時点で保健所からの見解が示されていないため不明」とする。ただ、大江戸線に2つある乗務区のうち、感染者は清澄乗務区所属の職員だけに集中していることから、職場内で広がった可能性が高そうだ。運転席は客室と隔離され、乗務員はマスクを着用していることから、乗客は濃厚接触者の定義には当てはまらないとしている。
清澄乗務区には休憩室や更衣室、浴室のほか、泊まり勤務の職員が使う「仮泊室」などがあり、仮泊室は個室だという。都交通局は感染確認後にロッカーや休憩室の消毒を行ったほか、12月23~24日に同乗務区庁舎の一斉消毒清掃を実施した。また、感染対策の強化として「局内の全職場に対して、改めて常時マスク着用や手指消毒の徹底を図るとともに、休憩室などの消毒や仕切り板の追加設置を行った」(広報担当者)という。
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