連れ子3人を愛すタクシー運転手の数奇な人生 運命のマクドナルドでの出会いから9年
東洋経済オンライン / 2021年1月10日 19時0分
「もうかれこれ20年以上になるが、新卒で就職した会社を1年半で辞めてから、一貫して金がない」
これは、ノンフィクションライター・山田清機氏による『東京タクシードライバー』(朝日文庫・第13回新潮ドキュメント賞候補作)の書き出しだ。コロナ禍において、収入が著しく減じた人も多い。タクシードライバー、そして、ライターも例にもれない。しかし、筆者である山田氏は人生一貫して金がないのだ。
そんな彼がタクシードライバーに惹かれ、彼らを取材し描き出した人生模様は、読むと少し勇気をもらえる作品となった。
『東京タクシードライバー』の「第2話 福島」から、一部を抜粋・再構成して紹介する。
■天職とも言えるタクシードライバー
日本交通千住営業所に勤務する高木栄一(52歳)の生まれ故郷は、福島県の中通りにある町だ。中通りまではいいけれど、そこから先の町名は伏せて、名前も仮名にするという約束である。
バブルが崩壊した後の1993年頃に、事実上の完全歩合制が導入されてからは仕事ができるドライバーの給与は大企業のサラリーマン並みによくなったという。当時、高木の営業収入は1カ月に90万円前後あり、ドライバーの取り分が50%強だったから、45万円以上の月収があった。そのうえボーナスも、平均で年間150万円近く出ていた。高木によれば、この頃が日本のタクシー業界の黄金時代であった。
タクシードライバーに仕事ができるもできないもあるまいと思う人がいるかもしれないが、それははなはだしい誤解である。ちょっとした工夫の積み重ねによって、営業収入は大きく変わってくる。タクシードライバーの仕事は、ロジックと直感の組み合わせによって勝負が決まる。高木にはその境界線をうまく歩いていく才能があった。
天職とも言える仕事に出会い、景気のいい時代を経験したこともあって、高木はどっぷりとタクシーの世界に浸ってしまった。
ほとんどのタクシードライバーが、「タクシーの仕事はきついけれど気楽だ」と言う。いったん営業所を出てしまえば、誰の指示も監視も受けないからだ。
もっとも最新式のタコメーターは飛行機のフライトレコーダーのようなもので、ドライバーの1日の行動を正確に記録してしまうし、GPSによってつねに現在位置を見張られてもいる。それでも、オフィスに座って上司の視線を気にしながら1日過ごすことや、工事現場でゼネコンの現場監督にドヤされながら仕事をするのに比べれば、やはりタクシーは気楽だろう。
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