駒形の「町中華」44年の歴史絶やさない血縁の志 高齢化とコロナ禍に伴う閉店を息子が引き継ぐ

東洋経済オンライン / 2021年1月20日 14時0分

この地でやることに意義がある──閉店する町中華「麺駒」を受け継いだ息子の柴田和さん。2021年1月に「塩生姜らー麺専門店 MANNISH 浅草店」を新たにオープンさせました(筆者撮影)

東京都台東区駒形──。

浅草駅(東武・都営・東京メトロ)と蔵前駅(都営)のだいたい中間地点。東京スカイツリーを臨む江戸通りから路地を1本入ったところにある1軒の中華料理店が昨年12月18日でその歴史に幕を下ろした。

■44年にわたって愛された台東区の町中華が閉店

「麺駒」という町中華だ。柴田等さん・アツ子さんがご夫婦で切り盛りし、台東区三筋で16年、駒形で28年、44年にわたって愛された老舗である。

平素より麺駒をご利用いただきありがとうございます。

誠に勝手ながら、年齢に伴い体力が追い付かなくなり当店は12月18日を持ちまして、閉店致しました。

44年もの長年のご愛顧、誠にありがとうございました。

閉店をお伝えして来てくださる皆様にサービスとクオリティを保てる体力と自信が無く、このような突然の閉店に至りました事を深くお詫び申し上げます。

ギリギリまで頑張った店主の限界が伝わってくる貼り紙だ。

つい1年前ぐらいまでは国内のみならず観光客が世界中から押し寄せていた浅草だが、新型コロナウイルスの影響で状況は一変した。

1月7日から1都3県に発令された二度目の緊急事態宣言で、飲食店には時短営業の要請がされ、営業時間を午後8時まで、酒類提供は午後7時までという指針が示された。時短要請に応じた事業者には協力金が支払われるものの(1店舗1日あたり6万円上限)、外出自粛により客数が減ることで飲食店は大打撃を受けている。

帝国データバンクが1月6日に発表した調査によると、2020年(1~12月)の飲食店事業者の倒産は780件発生し、過去最多の水準となった。

業態別にみると、「酒場・ビアホール」の189件(構成比24.2%)に続いて多いのが、「中華・東洋料理店」(105件、構成比13.5%)である。「麺駒」のような「町中華」もこれに当てはまる。

厚生労働省が2016年に発表した調査によると、中華料理店の68%は個人経営で、経営者は60~69歳が30.6%(50歳以上で74.3%)を占めるという。後継者がいない店は69.1%もある。

■コロナ禍の逆風で老舗の町中華が次々閉店

戦後から高度成長期にかけて開業した飲食店は、そもそもコロナ以前から後継者問題にぶち当たっていた。町中華は自己保有物件、家族経営のお店が多く、物件を賃貸して、家族ではない従業員を雇ったりする飲食店と比べると想定的にランニングコストは高くない。

だが、後継者がいないことからコロナ禍におけるこの環境悪化がきっかけとなって閉店に追い込まれるパターンが出てきている。筆者が最近聞いた中でも、早稲田エリアに残る数少ない町中華の1つだった「早稲田軒」が昨年8月に、入谷駅(東京メトロ)近くの「山久 根岸店」が同11月にそれぞれ閉店となっている。

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