トランプがこうも「キューバ」を痛めつける理由 退任直前にキューバをテロ再び支援国家に指定
東洋経済オンライン / 2021年1月20日 10時0分
キューバをテロ支援国家として不正に指定、これに対する断固たる全面的な糾弾――。任期満了目前のアメリカのドナルド・トランプ大統領が1月11日、アメリカ・フロリダ州から200キロ沖合に位置する人口1120万人の社会主義国家キューバをテロ支援国家に再指定すると、キューバ外務省はこれに対して強い抗議を行った。キューバは1982年から2015年までテロ支援国家に指定されており、これで2度目の指定となる。
「今回の(マイク)ポンペイオ(アメリカ)国務長官の声明が表すところは、面目を失い、不誠実で道義的に破綻している政府の傲岸な行為である。その真の動機が、キューバとアメリカの2国間関係における回復の見通しを追加的に阻害することにあるのは疑う余地がない」
■4年間可能なかぎりの制裁を課してきた
キューバが怒り心頭なのも無理はない。トランプ大統領はこの4年間の政権期間中にキューバに対して可能な限りの制裁を課してきた。それはバラク・オバマ前大統領の政策を180度転換させたものであった。
その背景には、キューバを経済的に追い詰めて国内から改革を起こさせてようという狙いがあった。これは、トランプ大統領が信頼を寄せているキューバ移民2世で、共和党のマルコ・ルビオ上院議員の「カストロ兄弟が政権を握っているかぎり、キューバへの支援は行ってはいけない」という考えに沿うものである。
1959年にカストロ兄弟はキューバ革命を成功させた後、アメリカに接近を試みたが、アメリカの傀儡政権だったバティスタ政権を打倒したということで冷遇される。その後、キューバはソ連に接近し、両国の関係は後者が崩壊するまで続いた。
ソ連に依存していたキューバ経済はソ連の後退とともに弱体化していく。ソ連が1991年に崩壊した時点でGDPは大幅に減少。しかし、ソ連の後継であるロシアにはキューバを支援する余裕はなく、ソ連崩壊から10年間、キューバ経済は苦境に立たされた。
ところが、1999年にベネズエラでウーゴ・チャベス政権が誕生すると、反米主義を掲げるチャベス大統領は安価な原油を提供することで近隣諸国を味方につけていった。その1つがキューバである。両国は貿易関係を構築するが、今度は原油価格が下落し始め、ベネズエラ経済が行き詰まってしまう。これにより、キューバも再び苦境に立たされることになる。
こうした状況下でアメリカのオバマ前大統領は、キューバとの国交正常化へ動き出したのである。オバマ大統領はまず、ローマを訪ねてフランシスコ法王にキューバとの国交回復を希望していることを伝え、支援を要請した。それに早速応えた法王はキューバのカトリック教会を動かしラウル・カストロ国家評議会議長に接近して、アメリカが国交の正常化を望んでいることを伝えた。
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