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北朝鮮「第8回党大会」は歴史に残らない大会 軍事面で目新しさなく経済改革は後退・中止も

東洋経済オンライン / 2021年1月22日 9時0分

「経済管理部門で実験を行っていく」という言及もあったので、北朝鮮における経済改革の可能性が完全に消えたわけではありません。まだ少し残っているでしょう。しかし、現段階で北朝鮮指導部は経済改革を中止し、旧式の中央計画経済をある程度復活させる希望があるのは確実ですね。これはよいニュースではありません。

――今回、金委員長が「総書記」に推戴されました。

とても奇妙なことです。金委員長が総書記に就任するということは、「永遠の総書記」として祭り上げた父親をわざわざ下げる行為です。正直に言えば、金委員長がなぜこうしたのかを説明することが難しいですね。もしかしたら、金委員長は父親に対してどこかイライラした、不満があるのかもしれません。

■「総書記」就任は父親への不満の表れ?

――父親にどういった不満があるのでしょうか。

そう思えるようなことを金委員長はしています。例えば2019年10月、彼は日本海側の景勝地・金剛山観光地区を訪問した際、「先任者たちの誤った政策」と批判したことがありました。しかも「他人に依存しようとした先任者たちの依存政策が極めて誤ったものであった」とまで述べました。ここで言う「他人」は韓国のことです。

さらに、1月1日に発表してきた「新年の辞」を分析すれば、年を追うごとに金日成と金正日に関する分量が減少してきています。2020年、21年は新年の辞を発表しませんでしたが、それまで先代=金正日についての言及がほとんどありません。今回の党大会でも、金正日時代の代表的な政治路線であった「先軍政治」について触れず、金正恩個人の思想と思われる「人民大衆第一主義」が多く使われています。

さらには、金正日の死亡直後の2011年12月に本格的に権力を世襲してからは、父親との関係の代わりに、祖父・金日成との関係を強調してきました。

――ただ、党大会期間中には「金日成・金正日主義」という言葉が多用されています。

権力が世襲される国家において、現在の指導者が先代の指導者に対して尊敬の念を十分に示さないのは非常に危険です。金委員長は、父親の名誉を少し破壊しただけです。今の北朝鮮において金正日を格下げするという運動が起こる可能性はありません。

また、金委員長は世襲政治の下では、ソ連のようにスターリンを格下げしたフルシチョフのような人になることはできず、そうなるつもりもないでしょう。しかし、金正日が「永遠の総書記」となってまだ8年も経っていません。総書記を名乗るのは、とてもよくない選択です。ただ、間接的、暗示的な批判が今後もありうるかもしれません。この点に注目する必要があります。

――党大会直後に、国会に当たる最高人民会議も行われました。これから北朝鮮は変わるでしょうか。

今回の党大会で言えば、これは歴史の記録に残らないというのが、私の結論です。今後、北朝鮮の経済改革が中止、あるいは後退し、それが長期化する状況になったとしたら、未来の歴史学者は第8回党大会に注目するようになるでしょう。

北朝鮮が経済改革を完全に中止して、例えば2039年に体制が崩壊したとすれば、未来の歴史学者は「北朝鮮崩壊のカウントダウンが始まった事件は2021年の第8回党大会だった」と記録することになるでしょう。

結局、第8回党大会は騒々しい割には中身がなく、費用だけがかかった大会だったのです。

福田 恵介:東洋経済 解説部コラムニスト

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