「東京脱出」を目指す企業が急増している理由 パソナやアミューズはなぜ「地方移転」を?

東洋経済オンライン / 2021年1月25日 11時0分

「東京脱出」を目指す企業が増えている理由とは?(写真:小野真志/PIXTA)

コロナ禍をきっかけに、企業が本社機能を都心から地方へ移転する動きが広がっています。

昨年、人材派遣大手のパソナグループは本社機能を淡路島に移し、2024年5月までに従業員1200人を異動させる計画を発表し、着手しました。

今年に入って、芸能プロダクション大手のアミューズが富士山麓への移転を計画していると『週刊文春』によって報じられています。

いまなぜ企業は本社機能を移転しようとしているのでしょうか。この動きは、コロナ終息後も続き、日本のビジネス・社会を一変させるのでしょうか。

■「本社機能移転」のメリット

昨年から本社機能移転の動きが広がっている理由を一言で説明するなら、「コロナによる環境変化で企業が地方に本社機能を移転すメリットが大きくなり、デメリットが小さくなった」ということでしょう。

本社機能移転にはさまざまなメリットがありますが、やはり大きいのは「コスト削減」です。

アミューズの場合、渋谷の高層ビル内にある本社事務所の賃借で毎月5000万円近い家賃を支払っており、家賃削減が移転の理由の1つのようです。コストではほかにも、従業員の通勤手当や勤務地手当を削減することができます。地方ではパート・アルバイトの時給が低いので、人件費の負担を軽減できます。

また、「従業員のワークライフバランスの改善」にも寄与します。総務省によると、通勤・通学の往復所要時間は、全国平均1時間19分に対し、神奈川県1時間45分(全国1位)、千葉県1時間42分(2位)、埼玉県1時間36分(3位)、東京都1時間34分(4位)。

一方、最短は大分県57分です。本社機能移転によって、戦後長く続いた通勤地獄が解消されます。通勤時間が短縮すれば、男性の家事・子育てへの参加が進み、余暇も充実することでしょう。

もちろん、本社機能移転にはデメリットもあります。最大のデメリットは、「顧客・取引先・省庁といった外部利害関係者とのコミュニケーションを取りにくくなる」ことです。現在、大企業の本社・省庁・大学の多くが東京にあるので、地方に移転すると調達・販売・協業・採用といった事業活動が制約されます。

また、地方への異動(移住)を望まない従業員が多いことも、本社機能移転のネックになります。日本では従業員の解雇が厳しく制限されている代わりに、会社側に強大な人事権が認められており、従業員は正当な理由なく異動命令を拒否することはできません。とはいえ会社が異動を強行すると、異動を望まない従業員が離職してしまいます。

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