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高速鉄道「頓挫」でも懲りない中国のマレー戦略 マラッカ海峡を回避する戦略ルート「東海岸線」

東洋経済オンライン / 2021年2月7日 8時30分

計画が中止となったクアラルンプール―シンガポール高速鉄道の駅舎イメージ図を眺める人=2017年(写真:Avalon/時事通信フォト)

シンガポールとマレーシアの首都・クアラルンプールを結ぶ高速鉄道計画について、両国政府は1月1日に計画撤回を発表、ついに破談となった。

高速鉄道は2013年に両国が敷設に基本合意。クアラルンプール―シンガポール間の距離は東京―名古屋間とほぼ同じ350kmで、両都市間を最速90分で結ぶ計画だった。

一時は中国や日本など各国が受注を競った高速鉄道計画。とくに「一帯一路」と呼ばれる国際的なインフラプロジェクトを世界中で展開する中国は、一見すると今回の計画断念によって東南アジア展開の壮大な思惑が崩れ去ったようにも見える。

だが、マレーシアでは中国による別の鉄道プロジェクトが進行中だ。ラオスでの鉄道建設も進んでおり、着々と東南アジアにネットワークを築こうとしている。

■計画断念を惜しむ声

東南アジアの新たな観光ルートの軸になる可能性もあった高速鉄道。プロジェクトの消滅を惜しむ声はあちこちから聞こえる。

国際的なビジネス需要を考えても、クアラルンプール―シンガポール間の高速移動の実現は魅力的だ。この2都市間を結ぶフライトは年間3万便、座席供給数は556万席(いずれも片道ベース)と世界の国際線便数ランキングでトップ3に入る。国際線で1日当たり40往復に達するのは驚異的と言えよう。

クアラルンプールの在住邦人向けフリーペーパー「Mタウン」発行人、広岡昌史氏は高速鉄道について「シンガポールとの行き来が手軽で便利になることが想定され、メリットを感じていた。観光需要はもちろん、両国でのビジネスを展開している日系企業も多いので、事業断念は個人的には残念に思う」と語る。

ただ、2013年の基本合意以降の経過は決して順調ではなかった。これまでにもマレーシア側が財政の悪化への懸念などから凍結を複数回提案し、そのたびに2国間での調整が行われてきた経緯がある。

基本合意から7年が経ち、すでに一部区間では土木工事が進んでいたプロジェクト。一方、導入される車両や運行システムをめぐってはとうとう発注先が未定のまま幕を閉じた。

【プロジェクトの流れ】
2013年2月:両国首脳により、建設に合意。「2020年の開通目指す」
2016年7月:両国の運輸当局者により覚書を締結
2018年5月:プロジェクト凍結を掲げたマハティール元首相(当時)が総選挙に勝利
2018年6月:マハティール前首相「高コストのためプロジェクトは延期」とコメント
2018年9月:前首相「開通は2031年」と明言。一方で両国首脳は2020年5月末までの事業凍結で合意
2020年2月:ムヒディン首相率いる新政権誕生。同年5月末までの凍結期限を同年末まで延長で合意
2020年12月31日:凍結期限最終日
2021年1月1日:両国首脳、事業断念を共同発表

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