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高速鉄道「頓挫」でも懲りない中国のマレー戦略 マラッカ海峡を回避する戦略ルート「東海岸線」

東洋経済オンライン / 2021年2月7日 8時30分

だが、中国はマレーシアで、別ルートの鉄道開発を着々と進めているのだ。

■「抜け道」確保を狙う中国

一般的に「マレー鉄道」と言われるルートは、タイの首都バンコクからシンガポールまで、マレー半島のインド洋側に面する西海岸を通っている。一方、中国はマレーシアの北東側にあるタイ国境から半島を縦断し、最終的にクアラルンプール郊外のマレーシア最大の貿易港クラン港に至るルートの構築を目指している。

マレーシアの輸送需要にはそれほど貢献しないようにも見えるルートだが、これが中国にとっては重要な意味を持つ。

中国は中東の原油への依存が高く、その大部分がマラッカ海峡を通過している。だが、有事の際にはシンガポール駐留の米軍が海峡封鎖に動く可能性がある。そうなればエネルギーの供給路が大打撃を受け、一巻の終わりだ。そのため、中国にとってはマラッカ海峡を通らずにインド洋から南シナ海への「抜け道」を確保することが重要な課題なのだ。

前述したルートに沿う新線、東海岸線(ECRL)を敷くプロジェクトはすでに進んでいる。全長640kmで、日本の在来線よりやや狭い線路幅(軌間)1mのマレーシア在来線とは異なり、中国本土と同じ軌間1435mmの標準軌となる。

ECRLは2017年夏に着工したものの、約1年後に政権奪取したマハティール前首相がECRLプロジェクトの中止を中国に向け宣言した。

ところが中国にとって、緊急時の抜け道となるECRLが頓挫してしまうのは何としても避けたい。最終的にマハティール前首相が中国と交渉し、建設コストの圧縮と自社企業による土木工事への関与比率を上げることで妥結に持ち込んだ。現時点では2026年の開通を目指して建設が進んでおり、最高時速160kmの旅客列車をメインに運行することになっている。

ただ、「抜け道」といっても中国とマレーシアは国境を接しておらず、鉄道でつなぐとしても途中にタイやラオス、ベトナムといった国が横たわっている。この間を接続するため、中国は西南部の雲南省と、国境を接するラオスを縦断する鉄道新線の敷設を進めている。「中国・ラオス鉄道」はタイの鉄道との接続を前提とするとともに、最終的にマレーシアへの乗り入れも可能とするという。

■中国の鉄道は東南アジアを席巻するか

中国・ラオス鉄道は全長422km。雲南省南部の中国国境の街・磨憨(モーハン)と接するボーテンとラオスの首都・ビエンチャンを結ぶ。最高速度は旅客列車が時速160km、貨物列車は120kmを想定しているという。中国側報道によると、同線にはトンネルが75本あり、距離にすると延べ198km。半分近くがトンネルの中という路線になる。

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