デキるはずの人が時々重大ミスをしでかすわけ 選択式試験で育たないのは論述力だけではない

東洋経済オンライン / 2021年2月16日 13時0分

仕事でミスの多い人は「見直し力」をきちんと身に付けるべきだという。数学の試験問題を例に取って解説する(写真:Fast&Slow/PIXTA)

初めての大学入学共通テストが1月16、17日に実施された。受験者数が膨大なため、記述式の導入は見送られ、結局マークシート式で行われた。生徒がマークシート式試験を意識した勉強ばかりすると、論述力が育まれないと考えるのは普通だが、筆者は「そうした勉強では、数学学習で当然身に付くはずの力もつかない」という。それはいったいどういうことか。

マークシート式の試験で監督をしていると、サクサクと解答のマークを進めていく、おそらく“優秀な”学生を何人も見かける。彼らはひととおりマークし終えると、机に伏せて寝ていることもよくある。

それに対して、記述式試験の場合は、受験生は「最後まで解けなくても、正解に至るルートを模索したり見つけたりしたことを評価されて“部分点”をもらえる」と考え、とにかく関係することをいろいろ書く。時間がたくさん余ることはあまりない。

実は、答案の「見直し」という点でも違いが現れる。例えば、最後の答えが「3π+15」となる問題があったとする(πは円周率)。

これは、マークシート式試験では、「[ア]π+[イ][ウ]」と表記され、ア、イ、ウに入る数字を答える形で出題される。

受験生はア=3、イ=1、ウ=5という答えに至ると「これで大丈夫」と、ほっと安心するだろう。

ところが記述式試験では、最後の答えがどのような形になるか、わからないのが普通である。「3π+15」という答えに至っても、正解かどうか、確信が持てない。その不安心理から、受験生は見直しをよくすることになる。寝ている暇などないのである。

■航空機燃料の単位間違いであわや大惨事

1983年にエア・カナダの航空機が、高度約1万2000メートルで燃料切れを起こした。原因は、離陸前の給油でリットルとガロンの単位の間違いがあったことである。航空機はエンジン停止に陥ったが、幸運にも機長がグライダーの滑空技術を使って、元空軍基地の滑走路に無事着陸したのであった。

2005年には、東京証券取引所と証券界を揺るがせた、株の誤発注事件があった。「61万円1株売り」を「1円61万株売り」と、価格と株数を取り違えて大量の売り注文を市場に出し、当該企業の株価の急落と市場の混乱を招いた。

人間は神様でないので、大なり小なりミスは起こる。しかし、「見直し」をしていれば失敗を防げたのではないかと思われることも多い。

先ほど、マークシート式の試験では受験生が見直しをしないで寝ていると述べたが、そのことと社会人にとって重要な「見直し力」の関係を説明してみたい。

■答案を見直す=「疑う力」を養う

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