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中2が失神「暴力指導やまない」日本柔道の深刻 2つの柔道事故「裁判経緯」が示す確かな変化

東洋経済オンライン / 2021年3月3日 11時0分

柔道で断続的に起きる子どもへの暴力指導。その空気が今変わりつつあります(写真:iStock/MaRRitch)

組織内のパワハラ問題で大きく揺れる日本柔道連盟。その横で、もうひとつの根深い問題が動き出している。

多くの子どもたちが被害に遭ってきた日本の「柔道事故」を取り巻く環境が今、大きく変わり始めているのだ。

兵庫県宝塚市の市立中学校柔道部で昨年、1年生の男子2人を柔道技で骨折させたなどとして傷害罪に問われた事件。2月15日に同校の元教諭の男(50)の判決公判が神戸地裁であり、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)が言い渡された。

報道によると、元教諭は昨年9月25日、差し入れのアイスを部員らが食べたことに腹を立て、背負い投げや袈裟固めなどの柔道技を10回ほど繰り返した。当時12歳の部員に対しては、意識を失った後も顔を平手打ちで目覚めさせて暴行を続け、胸椎圧迫骨折など全治3カ月の重傷を負わせた。

この裁判結果に驚きを隠せないのは、過去に起きた柔道事故の被害者家族たちだ。かつて息子が部活動顧問の指導を受けた際に重度の障害を負った首都圏に住む60代の女性は「今回は警察、教育委員会、そして全柔連も実に動きが速かった」と振り返る。

この宝塚市の事件は、被害者側が県警宝塚署に被害届を出したことで元教諭は逮捕、起訴された。事件が起きた日から2カ月後には同市教育委員会が、元教諭に懲戒免職処分を下した。現場にいながら制止しなかった副顧問の男性教諭は減給となり、この学校の校長も指導監督が不十分等の理由で戒告の懲戒処分となった。これまでに起きた学校内での柔道事故では考えられなかったスピード感と処分の重さだ。

■一命を取り留めたケースでの「免職」は異例

部活動での事故で教諭が免職になったケースで思い出されるのは、2013年1月に発覚した、大阪市の市立高校バスケットボール部員だった2年生男子の自殺だ。顧問による暴力や理不尽な扱いを苦にして自殺したもので、この顧問は懲戒免職となった。しかし今回の宝塚のように、生徒が命を取り留めたケースで、暴力を理由に公立学校の教職員が免職となるのはかなり異例だ。

過去記事でも報じてきたように、日本は柔道での死亡事故が多発してきた世界で唯一の国だ。世界中、日本以外の柔道強豪国での死亡事故はゼロだが、日本ではスポーツ振興センターの記録が残る1983年度から現在まで中学校・高校の学校内における柔道事故で121人が亡くなっている。しかも部活動中などに死亡するといった重大な事故が起きても顧問への重い処分はなく、そのまま指導を続けているケースも少なくない。

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