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日米地位協定を放置する日本が抱える根本問題 バイデン政権の対日期待と現実のギャップ

東洋経済オンライン / 2021年3月18日 10時0分

嘉手納基地を飛び立つF-22戦闘機(写真は2007年、Hiroaki Maeshiro/Bloomberg News)

3月15日からアジアを訪れた米国のアントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防長官は最初の訪問先に日本を選んだ。4月前半にはワシントンで日米首脳会談が予定されている。ジョー・バイデン大統領の初の対面形式での会談だという。日本のメディアは、バイデン政権は日米同盟を重視しているとしきりに強調している。

実のところ、バイデン新政権になっても、対日同盟方針はドナルド・トランプ政権から変わっていないといってよい。それは、基本的な対中軍事戦略が引き継がれているためだ。あえていえば、有権者にわかりやすくアピールできる「ディール」(取引)を好むトランプが日本に求めたのは、米製戦闘機・ミサイルの購入や思いやり予算の大幅増額だったのに対して、バイデン政権がこれから求めるのは、お金よりも軍事的役割の増大だと見られている。

■オバマ、トランプ両政権の対中戦略

バイデン氏が副大統領を務めたバラク・オバマ政権は2012年、中国のミサイル能力の向上に対応して沖縄に集中している米海兵隊兵力の一部をグアム、ハワイ、オーストラリア等に分散させる計画を決定した。しかし、中国は米国側の予想を超えてまもなく、グアムまで届くミサイル能力を獲得する。そこで、トランプ政権は2017年以降、ミサイルの撃ち合い、すなわち全面戦争にならないよう米中の軍事衝突をコントロールしながら、中国が同盟国の領土を占領するのを阻止するため、先んじて中国周辺の軍事的拠点を米軍がおさえるという戦略に変わる。

このため、在日米軍司令部はトランプ政権になってから、尖閣有事の際には米軍が自衛隊を全面的に支援すると言うようになった。尖閣諸島は、中国が台湾を攻撃する際に軍事的拠点となるので中国に占拠されると台湾が危うくなる、逆に日米が尖閣を確保すれば台湾有事の際には救援拠点となる、という考え方が背景にある。ちなみに、オバマ政権下で2015年に結ばれた「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)では、尖閣有事の際には自衛隊が対処し、米軍は後方支援を行うことになっていた。

オバマ政権期に決定された、中国のミサイル攻撃を回避するための米国の兵力分散化、という流れは変わっていない。しかし、オバマ政権が「拠点の分散化」だったのに対して、トランプ政権は「訓練の分散化」へと戦略が変化した。新戦略のもとでは、尖閣有事や台湾有事には沖縄は最も重要な軍事的拠点となるため、拠点となる基地は変わらず維持しておきたい。しかし、沖縄は米軍が集中しすぎて中国によるミサイル攻撃に対して脆弱なので、平時は沖縄以外の場所に兵力を分散させておきたいということだ。

■バイデン政権の対中戦略と日本の役割

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